技術力+αの強みを! 一人ひとりが自分で考える技術者集団
- 福岡
- 株式会社グローバルワークス 代表取締役 谷川将氏
国内外でシステム開発やマネジメントを経験
谷川さんは小さい頃からIT業界に興味があったのですか?
いえ、早く働きたいという気持ちが強く、中学を卒業したら飲食の道に進もうと考えていました。しかし、たまたま高校見学で目にした「鉄腕アトムをつくる」というフレーズに魅かれ、国立久留米工業高等専門学校に進学しました。授業で、ロボット工学を学びながら、当時一般に普及し始めたばかりのパソコンを使って、プログラミングの専門雑誌を参考にゲームを作ったりしていました。学生の自主を重んじて学校を運営する校風から、5年間寮生活では、部活などの予算組み、集団生活の規律、チームのまとめ方など、今思えばここで多くのことを学びました。
高専を卒業して、どんな仕事からスタートしたのでしょう?
業界ナンバーワンのシステム開発会社に就職して、まずは横浜で1年間営業を、その後3年、システム開発を経験しました。担当していたのは車メンテナンスのパッケージシステムで、ここでできることはやり尽くしたと感じて、システム開発の技術者を派遣する会社に転職しました。 技術者として全国を飛び回り、システムに関しては一通りできるようになったと思っています。その後、25歳で中国の関連会社に拠点統括として赴任しました。中国人スタッフ200名に対して、日本人は私ただ一人。言葉や文化の壁、ビジネスに関する考え方の違いなど、とにかく様々なハードルがあって大変でしたが、3年で、さまざまなことが上手く回るようになり、人も育ちました。ところが、本社の合併により、突然、中国の拠点を閉鎖することになってしまいました。その時は、現地スタッフの人生を狂わせてしまったと落胆しましたが、私自身も退職を決断し、彼らの現地法人立ち上げをサポートしました。起業のノウハウは、この時習得したものです。
マネジメントの苦労を乗り越え、人を育てる企業へ
その後、ご自身の会社“グローバルワークス"を設立されたのですね。
はい、現地法人の立ち上げを手伝いつつ、自分自身の会社設立の準備も同時に進めて、2007年8月に福岡で法人を立ち上げました。初めから大手企業との仕事が多かったため、個人事業主ではなく、はじめから会社を作りました。
設立から9年、これまで困難だったことは?
設立から3年程経った時、以前から付き合いのある技術者たちが集まって、社員7人を抱えるようになりました。 ところが、サラリーマン気質の社員が多く、経営者として未熟だった私は彼らの顔色をうかがい、甘い対応ばかりしていました。結局3年で会社崩壊の危機に陥り、また私一人で再出発することになりました。
それは大変でしたね。
そこからは会社は自分の組織なのだと、改めて腹をくくり、社員にとっては厳しいことであっても、私が「正しい・必要だ」と思うことはきちんと伝えるようにしました。採用活動にも力を入れ、自分なりの考えをしっかり持ってきちんと発言できる人、何事も意識の高い人を採用するように心がけました。試行錯誤を繰り返しましたが、今は20代から40代までの優秀な18人の社員が揃っています。
技術力だけではなく 人との付き合い方やコミュニケーション能力に長ける技術者集団
御社の事業内容について教えてください。
大きくは、2つあります。メインは業務システムの開発です。大手通信会社や大手電力会社で使われるシステムなどを手がけています。もう一つはデザインで、こちらはホームページやチラシ、リーフレットなどの制作を行っています。
誰もが知っている大手企業とお取引されているとはすごいですね。
当社は初めから大手企業と手を組みたいと考えていました。好不況の影響が小さくて経営の安定につながるというメリットはもちろんですが、スタッフが「自分はあの仕事をしているのだ」と誇りに思ってくれているのがうれしいですね。おかげさまで業績も順調です。
御社の強みはどんなところでしょうか?
先ほどの話にも関連しますが、優秀な社員が集まり、いい組織ができているところだと自負しています。フットワークが軽く、一人ひとり自分で考えることができて、融通もきく。みんな技術者ですが、技術力だけ高ければいいのではなくて、人との付き合い方やコミュニケーション能力にも長けています。
どのように人材を育成しているのでしょうか?
私自身、中国での経験や自社の創業当時の経験から、ずっと社員が安心して成長できる環境を作りたいと考えてきました。ですから、できるだけ社員一人ひとりと向き合って話をする機会を設けています。様子が違うなと思ったら、声をかけて悩みを聞いたり、反対に仕事の成果を楽しそうに報告してもらったり。 そういう中で、一人ひとりの課題についても話すようにしています。その人にもっと成長して欲しいし、当社だけでなく、どこにいっても通用する力をつけて欲しいと心から願っているからです。
これからの時代は技術力+αの強みが必要
今後の展望についてお聞かせください。
会社としては、ここ2~3年で案件が急に増えたため、人材確保に注力しています。今後数年で社員を2倍に増やし、自社内の開発を進めていきたいと思っています。 また、これまで高校や大学でキャリアについてセミナーを行ったり、産学連携でスマホのアプリを開発した実績など個人的にも今まで培ってきたノウハウを活かして、何かしら教育分野の事業を展開したいと考えているところです。
これからのクリエイターに求められるのは、どんなことでしょう?
ひとつだけの事を極める時代は終わったと思います。数年前の不況の折、技術力の高い人たちでさえ淘汰される姿を目の当たりにしてきました。では、何が必要なのか。軸となる技術があるのは当然で、さらにサブの強みを持たなければならないと感じています。 例えば、営業の人でも技術のことを知っていれば仕事の幅が広がるし、開発者でもまわりとうまくコミュニケーションを取りながら進めることでよりよいものができる。特に開発に関しては、ツールの発展に伴ってできる人材が増えており、だからこそ2つ目の能力を磨くことで他に抜きんでることが重要です。 自分で努力を続けなければ、長く生き残れない時代になっています。確かな技術力に加えて、サブの力は自身を高めるために必要です。弊社ではそのサブの力を大事にしていますので、一人一人にあったサブの力を身に付けていくことができますよ。
取材日:2016年3月23日 ライター:佐々木恵美
企業名:株式会社グローバルワークス
- 代表者名(ふりがな): 代表取締役 谷川将(たにがわ しょう)
- 設立年月日: 2007年8月
- 事業内容: 業務システム開発、ホームページ制作・DTP制作、スマートフォンアプリ開発
- 本社所在地: 福岡県福岡市博多区博多駅東1-12-5 博多大島ビル7F
- TEL: 092-477-8110
- URL: http://gwx.co.jp/