お客様のお客さまを意識した広告づくりを目指す
- 仙台
- スマイルシナジー株式会社 代表取締役 佐竹 亘 氏
「あなたに相談すれば解決する」。そのような存在でありたい
起業されるまでのキャリアについて教えてください
私は東京出身、仙台育ちです。新卒としての就職活動で 、人に接する仕事がしたいと思い、いろいろな企業を受けてみました。入社を決めたのはアミューズメント事業、不動産業、ホテル事業などを行う東京の企業でした。幅広く事業を行う会社のほうが、将来の可能性が広がるのではないかと思ったからです。そこでアミューズメント事業部へ配属され、担当地域は宮城県でした。
広告に携わることになったきっかけは?
東京の企業では、アミューズメント系事業の営業担当として、店舗の新規展開や既存店の販促を行っていました。そこでは広告についてもありきたりではなく、ポスター、チラシの内容も新しい提案を受け入れたり、既製品ではなくオリジナルでのぼり旗を発注したり、割と幅広く自由度の高い販促が可能でした。そのときは発注側で、広告担当の方を中心に、店舗の内装、外装の協力会社と共に、売れる店舗を作り上げていくことがとても楽しかったのですが、逆の立場である受注側も興味深いなと思っていた矢先、沖縄か愛知への転勤辞令がくだりました。しかし、家族の事情などもあってどうしても転居ができず、仙台で広告業界へ転職することにしました。
職種としてはどのようなスタートだったのでしょうか?
もともと広告関係を目指してのスタートではありませんでしたが、前職において、求める宣伝効果の実現には何が必要かを一緒に考え、ときに提案やアドバイスをくれる方の必要性を実感しておりました。この経験は私の目指すイメージでした。いろいろな方に問い合わせするのではなく、この担当者に相談すれば解決するという窓口のような存在を目指して、広告の企画立案からデザインを含めたプランニングを行い、ワンストップでお客様の問題を解決する仕事をしたいと思うきっかけになりました。結果として、営業兼プランナーが私の仕事となり、15年ほどのキャリアとなりました。
ご要望 抽出、提案、商品製作・納品、アフターフォロー、全部行いたい。
そのためには…
会社を立ち上げたきっかけは?
お客様の宣伝に関するご要望をお聞きして、お応えするのは当たり前ですが、集客数が上がった結果、お客様にどうなっていただきたいのかまでを考え、想いを共有して仕事を行いたいと考えています。お客様のご要望を実現するための広告提案を行うという姿勢を貫きたい。ならば、自分で起業しようという流れになりました。
いずれは会社を立ち上げたいという思いはお持ちでしたか?
以前の会社も立ち上げから関わっていたので、当初からあえて独立しようとは思っておりませんでしたが、いつかは自分が代表として経営をしてみたいという思いはありました。
これまで仕事を通じて信頼してくださった方々が共感してくださり、ご協力や応援があったからこそ実現しました。今後もしっかりお応えしていかなくてはと気持ちを引き締めているところです。
事業の中心にあるのはお客様のご要望を引き寄せるデザインです
現在の事業内容について教えてください。
私共の主な事業は、お客様のご要望を実現するための広告宣伝をご提案することと商品製作です。媒体としては、ポスターやチラシなどの紙媒体、のぼり旗、横断幕の布製広告です。また、店舗の屋内・外装飾、看板やボードサインの製作など、企画から施工まで含め行っています。そのほかオリジナルTシャツやポロシャツ、オリジナルノベルティの製造販売です。そしてすべての事業の中心にあるのは「ニーズを実現するデザイン」だと考えています。
幅広く事業展開されていますが、スマイルシナジーならではの良さが出たと思われる仕事について教えてください。
常に弊社が意識しているのは「お客様のお客さまの視点」です。行政書士事務所の広告を受注したことがあるのですが、士業の方の看板は「●●行政書士事務所」と表記されていることが多く、何の相談ができるのか?ということが分かりにくい。その結果、お客さまは事務所に入りづらくなっているのではないかと思いました。その事務所には大きな窓があるのですが、そこに具体的に相談可能なことを表記したデザインのディスプレイ装飾をするのはいかがでしょうかとご提案しました。洗練されたデザインよりも、情報をわかりやすく伝えることを優先させた内容でした。
そのお客さま本来のご希望は、事務所を目立たせることよりも、まずは気軽に相談に訪ねてもらえる導線づくりだったのです。当初、その方は「外観をこんな風にしようと思わなかった」とおっしゃいましたが、事務所の前を通られて窓をしばらく見た後、ふらりと立ち寄ってくれるお客さまが増えたという嬉しい声を寄せてくれました。
個人の充実・仕事の充実 両立させる環境づくりが私の責務
積極的に研修へ参加させるなど、社員教育に力を入れていらっしゃいますが、その効果はいかがでしょうか?
先日、あるセミナーに社員を参加させたところ、働きながら勉強するという体験は初めてだったらしく、とても勉強になったと生き生きとした感想をくれました。常に新しいヒト・モノ・コトを積極的に見つけ、そこから得られる発想や知識、技術などを自分自身の仕事や知見に活かしてほしいと考えています。本人が望むならば、これからもどんどん勉強する機会を作っていきたいです。
ひとつの学びはもっと学びたいという意欲を呼び起こすと思います。またその成果は従業員を通して会社に還元されるという好循環を生みます。勉強する時間があったら、もっと仕事をこなさないといけないという厳しい状況は、どの業種でもありがちです。学ぶ時間の確保もそうですが、個人が充実するための時間をもてるように、仕事を整備してその環境を整えていくことは、私の責務です。同時に、従業員にはどうすれば時間を作り出せるのかを考えながら仕事を行ってほしいと思っています。その結果、個人の時間が作り出されると共に、仕事の効率も上がって納期も早まり、サービスの向上を生み出すことにも繋がると思うのです。
社会から必要とされる企業であり続けたい
これからどのような会社にしたいとお考えですか?
町を歩いていると、もともと看板を担当していた経験のせいか、古くなってすすけた看板が目に付くことがよくあります。会社の立ち上げ当初のことでした。ある店舗に思い切って訪問し、看板の修理をご提案したのですが、店主さまから「気になってはいたが、それよりもホームページも作らないといけないし、だいたいどこに相談したらよいか分からなかった」と言われました。個人商店はWebのページ作成に労力をかけ、今後に備えるより、まずは毎日そこを通っている人に、改めて足を運んでいただくということが優先なのでは?と、看板の修理をご提案させていただきました。現在はスマイルシナジーを必要としてくださり、長くお付き合いしたいと言ってくださるお客様のおひとりです。
このように、お客様、地域、協力会社、社員から長く必要としていただける会社にしていきたいと思っています。そして社員一人ひとりも同様に必要とされ、あの会社に依頼すると、あの人が仕事をしてくれると言われるようにしたいと思っています。
宮城、東北のクリエイティブ業界の成長に関して、会社としてどのような働き方をお考えでしょうか?
会社を立ち上げたばかりの私が、何か言えることではないと思っておりますが、この業界で働こうと思う方たちの受け皿を、自分なりに広げていく努力をすべきと思っています。
例えば従業員で短時間勤務を希望する人がいれば、短時間勤務が可能な環境を作ることができるかを考えたいですし、それがうまく機能したときは、業界内の新たな就業スタイルの成功事例となるのではないかと思います。
一方、トップクリエイターを目指すことなど都市部でしかできないこともあると思いますが、自分のやりたいことを仕事にするのはどこにいたってできると思いますので、東北にいたって勉強はできる、仕事もできると思って貰いたいです。これはこの業界に限ったことではないと思っています。
一緒に働くスタッフに対して会社としてどのようなことを求めますか?
誰でも個人のやりたいことがあると思います。まずそれを考え抜いて実行してほしいと思っています。Web系に興味があるというなら、それを学んでどう活用するか?それをどのように具体化するのか?そこまでを考えて行動に移せれば、それは個人・会社の双方にメリットが生まれます。自分の創作意欲を満たし、作品を広く世間に評価されたいと望むのは芸術家ですが、お客さまに必要なデザインを創作し、それがお客さまの目に触れ、お客さまに評価されることに喜びを感じるのが企業で働くデザイナーだと思っています。このような考えに基づいて、一つでも多くデザインを生み出したいと思えるなら、デザイナーとしての道を究めてほしいと願い、私はその支援を精一杯したいと思います。
取材日:2018年1月30日 ライター:桐生由規
スマイルシナジー株式会社
- 代表者名:佐竹 亘
- 設立年月日:平成28年8月
- 事業内容:デザイン制作/販促オリジナルグッズ製造/印刷/看板・サイン製作/内装
- 所在地:宮城県仙台市青葉区郷六字葛岡下49-12 広瀬の杜壱番館102号
- TEL:022-399-7080
- FAX:022-399-8286
- URL:http://www.smile-synergy.net/