Photoshopのパスがうまくできない…! 切り抜きに必要なパススキル
印刷会社のプリプレス部の切り抜き部隊として
生鮮食品から衣料から白物家電まで、切り抜いて切り抜いて切り抜きまくっている
新米レタッチャーのいずみさわなつみです。
ちなみに、最高難度は自転車だと思います。
バスケットとスポークが……細かいんですよね。
レタッチャー泣かせなのではないでしょうか。
さて、印刷業界の切り抜き部隊はフォトショップで画像を切り抜いていきます。
切り抜かれたものは、チラシであったり、カタログであったり、ポスターであったり
様々な紙媒体に組み込まれるわけです。
ほとんどの画像は、グリッピングパスによる切り抜き。
あの、うねうねとしたパスを自由自在に操れなければなりません。
WEBデザイナーだったとき、Photoshopではパスを避けてきました。
パス回避でなんとかなっていたんですね。
ですが、レタッチャーとしてそういうわけにもいかなくなりました。
冷戦状態だったパスとどうやって和睦まで持ち込んだのか……今回はそんなお話をしたいと思います。
アンカーポイントは切り抜くラインまで攻め込んだほうがきれい
パスツールでの切り抜きでよくいうのが、ちょっと内側を切り抜きましょうというのです。
ここで初心者は内側……内側……と意識しすぎて
(はみださないように、はみださないようにって思っているんですよね)
アンカーポイントを内側に打ち込んでしまいがちです。
かくいう私もそうでした。
そうしたら……もうちょっと攻め込んでいいよといわれてしまいました。
なので、あまり内側にと意識するのではなく
切り抜くラインぴったりくらいまで攻め込んでいいんですね。
はみだしていなければいいんだと思っています。
そのほうが、切り抜いたときにきれいなんです。
パスはハンドルの向きに進んでいく
うねうねとしたパスはまるでいうことをききません。
アンカーポイントを打ち込んでも、ハンドルがパスの進行方向を邪魔して
大きく湾曲してはみだしてしまうなんてことも……。
最初はAltで削除しながら、強引に曲がっていくほうが効率的なのではないかとさえ思ってしまったくらいです。
パスはハンドルの向きに進んでいくもの。
ハンドルが切り抜きたい対象物から脱線した方向を向いていれば
当然はみだしてしまいますね。
改善策となったのは、ハンドルを切り抜きたいラインにできるだけ沿わせること。
わずかにゆがんでいるものを切り抜くとします。
ふくらみはじめたところに、そのふくらみにハンドルを沿わせ
沿わせたままやや引き延ばすようにして、次のアンカーポイントを打ち込むんです。
そうすると、線を描くようにパスが描けます。
超綺麗に切り抜かなくてもいい 大雑把さが必要なことも
これはケース・バイ・ケースになりますが
そもそもきれいに切り抜かなくていいことがあります。
言い方が悪かったかもしれませんね。
例えば、チラシの隅っこにものすごくちっちゃく紛れ込んでくる靴下の場合。
しかも、あったかいもふもふとしたやつです。
Photoshopで拡大しながら、もふもふのひとつひとつをきれいに切り抜いたとして、どうでしょうか。
組み込まれたとき、頑張って切り抜いたもふもふなんて、肉眼では見えなくなってしまっているんですね。
なので、ところどころなんとなくもふもふを拾いながら、ざっくり切り抜いてしまっていいんです。
どちらを並べてみても、拡大しなければそれほど違いなんてわからないんです。
無駄に時間がかかってしまいますし、アンカーポイントが増えるほど、画像が重たくなってしまいます。
大雑把になるときは大雑把になるのが、現場の切り抜きのコツといえそうです。
まとめ
もしかしたら、Photoshop、illustratorなどでのパスがうまくできないと
(ちょっと前の私のように)悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
あくまで、私個人が現場で「ああ、そうなんだ」「ああ、こういうことなんだ」と飲み込んだことですが
悩める皆さんのお役にちょっとでも立てたらうれしいです。
もしかしたら、デザイナーのように目立つことはないかもしれません。
切り抜き部隊はちょっと地味かもしれません。
ですが、切り抜かなければ、紙面は完成しません。
切り抜きひとつでも「職人」としてのプライドを持って、これからもがんばっていけたらと、改めて思いました。