WEB・モバイル2025.02.07

AIを使ったライティングで気を付けること

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

数年前からライティングの分野においてAIの活用が注目されるようになり、今ではAIが手軽に文章を生成してくれる時代が当たり前になっています。しかし、便利で効率的な反面、気を付けるべき点もいくつかあります。今回は、AIを使ったライティングにおいて注意したいポイントについてお話ししたいと思います。

1. 「ハルシネーション」に気をつける

AIにおける「ハルシネーション」という現象をご存知でしょうか。これは、AIが実際には存在しない情報や誤った事実を生成してしまうことです。例えば、名前が間違っていたり、実際には存在しないデータを出してしまうことがあります。AIは非常に高機能である一方で、あくまで過去のデータを基に動作しているため、必ずしも正確な情報を提供するとは限りません。

特に信頼性が求められる記事やレポートを書く際には、AIの出力をそのまま信じるのではなく、必ず確認することが大切です。実際、私も何度かAIに生成された文章をそのまま使用しようとしたところ、「これって本当に正しいの?」という疑問が浮かび、再調査して訂正することがありました。

たとえば、私は新たにリラクゼーションサロンを始めようと動いており、ロールモデルを探そうとしました。聴覚障碍者の人が通いやすいサロンにしようと考えているので、AIを使ってロールモデルをさがせば簡単だ!と思ったのですが、AIが回答してくれたのは実在しないサロンでした。

・アメリカにある「〇〇サロン」:スタッフ全員が手話を使い、筆談や文字起こしアプリも活用しながら運営しています。

とさも実在するかのように回答したのです。

もっと情報を知りたいと思い、検索したらHPが出てきません。おかしいと思い、AIにソースを求めたら、「ソースを提示する事はできませんが、このようなコンセプトのお店は存在する可能性もあります。」という回答でした。ハルシネーションですね。「可能性もあります」って…。

こうした手間を減らすためにも、AIに情報を求めるときは「ハルシネーションしないでください」という指示を与えるのは有効です。

2. 明確な指示を出す

AIに何を求めているのかをきちんと伝えることが、良い文章を生み出すためには欠かせません。また、どんな読者に向けて書くのか、文章の目的は何かを明確にすることも重要です。例えば、「ビジネスパーソン向けの記事を書いてください」という指示を出せば、AIはそれに合ったトーンや語彙を選び、読者層に合わせた内容を作成してくれます。逆に、「適当な文章を作ってください」という曖昧な指示だと、何をどう改善すればいいのか分からず、結果としてクオリティの低い文章が出来上がってしまうことが多いです。

3. 役割を明確に

AIに役割を与えることで、その出力がより意図に沿ったものになります。例えば、「あなたはプロのライターです」と指示すると、AIはライティング技術に基づいて、文章を構築する際に注意を払ってくれます。「あなたはマーケティングの専門家です」と伝えれば、マーケティングに特化した表現や訴求力を持った内容を作り出すことができます。

役割を明確にすることで、AIはその指示に従い、より的確な文章を生成しやすくなります。例えば、「ライティングの役割に従って、説得力のある内容を作成してください」と伝えることで、AIはその目的に適したアプローチを取るようになります。

4. 反復と修正の重要性

AIが生成した文章は、最初から完璧なものを期待するのは難しいこともあります。最初の出力を基に、修正を加え、何度も繰り返すことで、より洗練された文章が出来上がります。私も最初にAIが出した文章に対して、「もう少し簡潔にしてほしい」「もっと説得力を持たせたい」といった指示を繰り返し、完成度を高めていきました。一回出力された文章に対し、「この文章を60点として100点の文章を書いてください」といった具合に、具体的な指示を出すことで、AIがどの部分を改善すればいいのか理解しやすくなります。

反復作業を通じて、AIはより精緻な文章を生成することができます。もちろん、完全に任せてしまうのではなく、自分の意図を反映させるために細かい調整を加えていくことが大切です。

5. AIの限界を理解する

AIは素晴らしいツールですが、その限界もあります。特に感情を込めた表現や創造性が必要な場合、AIだけでは完璧に表現するのは難しいことがあります。私は映画レビューを書かせて頂くことがありますが、公開前の作品のレビューをする事はAIにはできません。

創造的なライティングや感動的な表現が求められる場面では、AIの生成した文章を基に、自分の感性を加えることが求められます。AIはあくまでツールとして活用し、最終的な感情の表現や独自の視点は自分自身で加えていくべきだと感じています。

結論

AIを使ったライティングは、確かに効率化や生産性向上に寄与しますが、使い方には十分な注意が必要です。「ハルシネーション」を避けるためのチェックや、明確な指示、反復作業の重要性を理解することが、良いコンテンツ作成には欠かせません。また、AIの限界を理解し、人間の感性を加えることで、より深みのある文章が生まれると思います。

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング/ディレクション) 官公庁系サイトディレクション、デザインの他、企業系大規模サイトリニューアル、ECサイト運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザイン、映画レビューについて紹介します。

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