リノベーション事業で自分たちの街を豊かに。目指すは「仙台一」
「ひと、まち、自分たちを豊かにする」をビジョンに掲げ、中古住宅にとどまらず商業施設やビル、集合住宅など幅広い建設物のリノベーションを軸に事業展開する、宮城県仙台市の「株式会社 N’s Create.(エヌズクリエイト)」。以前、アンティーク家具の貿易会社で働いていた代表取締役社長の丹野 伸哉(たんのしんや)さんは、「昔のものを生かす」という点が、リノベーションと紐づき関心を持ったんだそう。「クリエイティブな発想で社会課題を価値にしていきたい」と話す丹野さんに、同社の事業の内容や経緯、そこにある想いなどについてお話を伺いました。
社会的な変化の兆しを見出し、リノベーション事業をスタート
N’s Create.さんの沿革について教えてください
元々当社は、地場ゼネコン会社の不動産管理会社としてスタートした会社なんです。それを、現会長の結城が、スクラップ&ビルドの考え方から中古不動産をもっと有効に活用していくべきという流れが高まってきた社会的背景もあって、自社でマンション一室を買い取り、リノベーションして再販売するという、中古不動産の買取販売事業を始めたのが2013年。そこで、市場の確かな手応えを掴んだことや本格的に事業展開できる体制ができてきたことで、リノベーションを軸とした事業に専門特化した会社として、2014年に分社設立しました。
マンションを初リノベ「夢がある」。貿易ビジネスから未経験で入社
丹野社長の来歴を教えてください
私は、海外でのビジネスに興味がありまして、輸出入の仕組みや語学などを学べる貿易ビジネスの専門学校に進学し、卒業後には、仙台のアンティーク家具などのインポートビジネスを手掛ける会社に就職しました。そこなら、自分で営業から仕入までイチから勉強できる環境だと思い入社しまして、5、6年ほど、主にインテリア類の貿易ビジネスに携わり、ヨーロッパのアンティーク家具の輸入や上海や深圳、香港などのホテル向けに、家具を工場に発注して卸す仕事などをしてきました。
そこから、当時リノベーション事業を始めようとしていて、分社化する前の会社に入社しました。不動産や建設についてはまったくの未経験で入社したので、プランニングして図面を描いたり、現場で施工の管理をしたりといったことをイチから覚えていきました。そこで、いろいろ勉強しながら、2014年にN’s Create.を設立したときに、3人の創業メンバーの1人として立ち上げに加わりました。そして、2018年に社長に就くことになったという流れです。
リノベーションに興味を持ったきっかけは?
海外のインテリアに携わり、海外では基本的に新築ではなくリノベーションがメインだと学びました。アパルトマンなどの古い建物をどうリノベーションしていくかということが主流で、インテリアも昔からある物をアンティークとして使う国が多いといったことを勉強してきました。そこで、今後を見据えたときに、自分の歩んできた道と社会背景がリンクしていくように思えたのが大きな理由です。マンションのリノベーションを初めて手掛けたときに、自分でやってみてこんな風になるんだと自分でも驚き、夢があると思いました。これは絶対に楽しい仕事だと確信しましたね。
中古住宅をはじめ、店舗やビルなど、幅広くリノベーション事業を展開
現在の事業内容について、詳しく教えてください
現在、大きく3つの事業領域がありまして、まずは、住宅のセグメントですね。最初は自分たちで物件を買って、リノベーションして販売するという買取再販から始めて、個人のお客様から中古住宅をオーダーメイド型でリノベーションするという案件を徐々に増やしてきました。しかし、お客様にとっての選択肢は中古リノベーションだけではないというところで、最近では最適な住まいの相談相手、コーディネイターとしての付加価値を高めるという動きを取っています。新築の建売が良ければ、それも仲介しますし、中古リノベーションが良いというのであれば、物件を探して、設計・施工まで一貫してお手伝いします。最適な住宅を提供できるパートナーという立ち位置ですね。
次に商業施設とか店舗といったセグメントがあります。事業を推進してきた中で、店舗などの相談を受けることが多くなってきました。物件探しというよりも、お客様の事業計画を伺いながら、店舗のデザインはもちろんのことですが、プロモーションやロゴデザインの開発、ブランディングなどまでお手伝いしています。
それから、ビルや一棟マンションのセグメントですね。住宅や店舗などを手掛けてきた中で、集合住宅や雑居ビルなどに対して自社で開発できる力もついてきたということで、古くなったビルなどを一棟まるごとリノベーションして再生する事業を行っています。
「自慢できる場所を増やしたい」。社会課題をクリエイティブで価値に
ホテルや保育園の事業展開もされていると伺いました
元々、会社のビジョンに「ひと、まち、自分たちを豊かにする」と掲げているのですが、私たちの暮らす街・仙台を肥やしていかなければならないと思っています。自慢でき、居心地の良い場所を増やしたいと。
それが結果的にすべての豊かさになることにつながると考えて、企画したのがホテルのリノベーションです。仙台らしいというか、地元感を味わえるホテルがないというところでつくりました。ここから新たな事業につながっていくのではないかと考えて、運営までやっています。
保育園も人やまち、そして子育て社員のために企画、開発をしました。誰もが自分らしさと向き合い、子どもたちが自分の人生を豊かに生き抜く力を育む保育園です。また、保育園から始まるまちづくりという視点で、保育園と園児を中心にしたまちづくりを見据えています。運営は、信頼できる地元の学校法人さんに委託しています。
事業を通して社会課題を解決していこうとされていますね
社会的な課題や問題はいつの時代にもありますが、クリエイティブな発想を解決法として価値に変えていきたいとは考えていますね。それを実現するために、当社では行動指針として、Challenge、Communication、Creativeを3Cとして設けています。チャレンジ精神というマインドと、コミュニケーションによって具体的な方針を見出していき、それを両輪で進めながら、クリエイティブであろうという話をしていますね。なかなか難しいですが(笑)。
中古物件を信頼して託してもらえるプレーヤー、そして、仙台一のリノベーション会社へ
今後の事業展開について教えてください
事業を立ち上げてから今までの約10年は、新しいものにチャレンジして事業として成り立つように実績をつくっていくという感じでした。しかし、リノベーションが今後さらに加速していく中で、市場を盛り上げていけるかは事業者次第だと思っています。中古不動産をリノベーションすることで、不動産の価値を最大化させ、住まい手にとって安心して暮らせるお住まいの提供が大切です。
だからこそ、これから事業を深堀りしていく10年で、よりお客様に安心感を持って選択肢を提供していける会社になっていく必要があると考えています。住宅であろうが、店舗やビルであろうが、仙台でリノベーション会社といえば、あそこだよねと思ってもらえるような存在を目指していきたいですね。
そこを目指す上で、どのようなことが課題になるとお考えですか
一番大きいのは、社員の成長であり、それを促す教育ですね。個人の成長に依存するだけではなく、会社としてどのように成長を促して支援できるか、体制を構築していかなければなりません。それができないと、事業として継続させていくことが難しいという危機感を持っています。とはいえ、意欲を持って働く自己成長力が高い人を増やしていけるような、制度なり風習をつくっていく必要があると考えています。マネジメント層がプレーイングではなく、もっと教育指導に注力できる体制にもっていく必要もあります。
今後、どのような人と仕事をしたいと考えていますか
重要なのは、自分で物事を考えて行動できる人です。リノベーションという仕事の中で、問題の解決法を考えるのがN’s Create.のあるべき姿なので、何も考えられない人、文句や批判だけを言う人は悪ですね。私たちの仕事は新しい価値を生み出していく仕事ですから、待ちの姿勢だと行動指針のチャレンジが嘘になってしまいます。新しいことに触れよう、勉強しようという意識を持っている人、自分の人生をこういう風に歩みたいと言える人が当社には合っていると思いますね。
取材日:2022年11月15日 ライター:高橋 徹
株式会社 N’s Create.
- 代表者名:丹野 伸哉
- 設立年月:2014年6月
- 資本金:1,200万円
- 事業内容:リノベーション事業(リノベ不動産)、CREATIVE LAB事業、不動産再生 RE;BUILD事業
- 所在地:〒980-0011 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目3-21 上杉NSビル
- URL:https://n-cre.jp/
- お問い合わせ先:https://n-cre.jp/contact/