プロダクト2025.02.12

「2秒で発想した」あるおもちゃがSNSで“万バズ”。ななめ上をいく驚きで人々の箸休めに

京都
株式会社2時 代表取締役
Yuri Narazaki
楢﨑 友里

「犬が勝訴と書いてあるおもちゃをくわえていたら面白いんじゃないか」。そんな視点を変えたアイデアで世の中をあっと驚かせる商品を企画する、京都の株式会社2時の代表取締役・楢﨑 友里(ならざき ゆり)さん。思いついたことを「まずやってみる」ことで、世の中を驚かせるような商品を生み出してきました。やりたいことであれば手作りでも形にしたい、絶対に面白いと思ったことは形にしないと我慢できない、楢崎さんの真価に迫ってきました。

自転車のベルで演奏を。遊び心から広がった視野

プランナーを仕事にしたいと思ったきっかけを教えてください。

幼い頃、絵を描くことが好きでよくお父さんとお絵描き対決をしていました。りんごの絵を一つ描くのにも、お父さんの絵には芋虫が出ているなど遊び心あふれており、父から新しい視点のインスピレーションを受けていました。
中学に上がる頃には芸術系の大学に進学したいと思うようになり、現在の京都芸術大学へ入学し、広告に特化したデザイン学科を専攻していました。そこでただポスターをデザインするのではなく、「ポスターはそもそも四角である必要があるのか?」や「窓にシールを貼ってみるほうが面白いのではないか?」とアイデアを出すことに面白さを感じ、プランナーという仕事を志すようになりました。

楢﨑さん独自の発想力を生かして、何かを表現した例はありますか?

大学時代、後ろから自転車のベルを鳴らされたときに音色が「きれいだな」と感じました。自転車のベルは周囲に危険を知らせるためのものですが、そのとき私は「自転車って乗れる楽器かもしれない!」と思ったのです。そこから自転車のベルの音階を集め、チャリベル楽団を立ち上げました。自転車のベルを20台ほど集めて、実際に演奏したのはきっと私だけじゃないかと思います。

目指したかったのはキャリアアップではなく、「面白い企画を考える続ける人」

株式会社2時を立ち上げるまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後は、ファッション・雑貨・手作りキットといった商品を取り扱う大手通販会社である株式会社フェリシモに入社し、プランナーとしてさまざまな仕事に挑戦させていただきました。
しかし仕事をしていく中で「組織の中でキャリアアップしていくことが目標ではないかも」と思うようになりました。リーダーになる、部長になるということよりも「ずっと面白い企画を考え続ける人である」というのが自分の目指したい姿であることに気がついたのです。
自分の力を試したいと思い、入社8年目で独立を決意しました。当時は、取り扱うことができる商品や、新たなお客さまとの仕事など、自分たちの企画を試せる機会が広げられることにワクワクしていました。企画の幅が広がることでさらに面白い商品企画ができるかもということが立ち上げの原動力です。

“ななめ上”をいく発想でさまざまなジャンルに挑戦。企画から発信までの一連を担う

現在の事業内容について教えてください。

お客さまからいただいたご依頼を元に、企画や商品開発、情報発信など一貫した支援をさせていただいています。
「バズる商品を考えて」というざっくりしたご依頼もあれば、「こういったターゲットに向けてこういうものを作りたい」という具体的なご依頼もあります。お客さまのニーズに合わせてご支援させていただきます。

ななめ上の発想を大事にする株式会社2時の強みを教えてください。

商品のアイデア出しからパッケージ制作、リリースまで一貫したサービスを提供しているというビジネスモデル自体が他社と大きく違う点です。私たちはお客さまからいただくリクエストに対して、ヒアリングしながら最適解を考えることを心から楽しんでいるからこそ、こうした事業が提供できていると思います。
普段ショッピングでさまざまな商品を見る中でも、「ただの商品」ではなく、「この商品が今ここにあるのはこういう理由だからか」といったように、商品の文脈を多角的に見ることを意識しています。他の方とは違う視点を持つことが私たちの強みになっています。

大切なのは“思いついたらまずやる”。「こう来たか!」なアイデアを発想

これまでの作品の中で最も思い入れのある商品を教えてください。

SNSで大きな反響を生んだ商品の一つなのですが、犬用おもちゃ「勝訴マスコット」です。実はペット商品を作りたいなと思って2秒ぐらいで発想した企画でした。100円ショップで購入したタオルに、勝訴という文字をアイロンプリントし、友人の犬に咥えてもらい近くの河原で撮影したものがバズったことから商品になりました。
ものづくりは「必死に考えて、完成度の高いアイデアを出す」ということよりも、「思いついたらまずやってみる」ことが大切だと教えてくれた商品です。この商品がきっかけで本当にたくさんの方に弊社2時を知っていただけました。

普段からアイデアを考えている楢崎さん。大変だと思うときはどのようなときですか?

やっぱりアイデアの発想です。こうした仕事をしていると無尽蔵にアイデアが出てくると思ってくださる方も多いのですが、実はアイデアを絞り出すこともあります。またキャラクター系の商品企画の際には、アイデアの良し悪しに加えて、キャラクターの性格などのポイントも加わってくるため、緻密なアイデア出しが求められます。ただ「こう来たか!」とファンの方の予想を裏切るような驚きを提供することに妥協はしません。

私たちの商品がそばにあることで肩の力を抜ける、そんな存在でありたい。

これから株式会社2時として挑戦したいことを教えてください。

日常の箸休めになるような商品を作り続けることを目指しています。日常生活の中には忙しい日もあると思いますが、私たちの商品がそばにあることで肩の力を抜いてもらえたらなと思います。「変なことをやっている人がいるんだ」ぐらいに思ってもらえたらうれしいです。

アイデアを出し続けるために気をつけていること、大事にしていることはありますか?

私たちは、「価値がある」「やりたい」と思ったものは採算が合わなくても実施しています。そのためにも、常日頃から「やりたい」を実現できるだけの経営基盤と、頭の余白は作るようにしていますね。
そして、いいアイデアを生み出すコツは「8時間以上寝ること!」です。自分自身が楽しめるようなゆとりを持つことが、柔軟な発想のために何より必要だと考えています。

取材日:2024年12月23日 ライター:大場 有紗

株式会社2時

  • 代表者名:楢﨑 友里
  • 設立年月:2020年11月
  • 資本金:900万円
  • 事業内容:企画デザイン事業
  • 所在地:京都府京都市中京区
  • URL:https://2-niji.com/
  • お問い合わせ先:

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