グラフィック2025.02.19

靴卸にWebデザイン…共通点は“顧客に寄り添い形に”。廃材利用のブランドも展開し社会貢献へ

大阪
株式会社3.C GRACE 代表取締役
Shinichi Hasegawa
長谷川 真一

大阪の株式会社3.C GRACE(ミックグレイス)の代表取締役・長谷川 真一(ハセガワ シンイチ)さんは、起業前は最年少で営業部長を務めるなど、優秀な会社員でした。新規を含めた法人営業で約1,000人以上の方と話す中で感じたのは、対話による人間関係の構築の大切さ。前職で培ったアパレル企業向けのシューズなどの企画・卸事業を軸に、Webデザイン事業、木の小物ブランド事業を展開する同社への思いと展望を語っていただきました。

10年間の会社員を経て独立、主軸はシューズのデザイン・企画

起業前に、勤めていた会社について教えてください。

婦人、紳士、子供シューズの企画・製造・輸入・販売を行っている会社に就職していました。もともと人と話すことが苦手な性格でしたので、最初はうまくいかないことだらけでしたが、たくさんの人との出会いから、人間関係の大切さや仕事に対する姿勢を学ばせていただき、商品企画と営業の両方ができるスタイルへと変化していきました。そのスタイルをお客さまに評価していただき、営業成績は常に上位を取り続けることができるようになったこともあり、34歳の時に営業部長を任せていただけることとなりました。中国や韓国への出張機会を増やし、製造現場や品質管理などについても触れることで、たくさんのことを学ばせていただきました。その後、様々なことに興味を持つようになった中で考えに変化があり、10年以上勤めた会社を退職することを決めました。

3.C GRACEの事業内容を教えてください。

当社では三つの事業を行っています。
一つ目は、レディースシューズの企画・デザインを含めた卸売業です。10代から30代の女性向けの厚底シューズなど、トレンドを意識したファッションシューズを得意分野としています。他社と異なる自社の強みとしましては、 展示会サンプルをベースに限られた部分のみをカスタマイズする「OEM」ではなく、クライアントが希望するイメージを0から企画デザインする「ODM」のサービスを得意としています。そのため、商品ごとにエンドユーザーやクライアントのニーズを意識して開発することで、高い顧客満足度を獲得できています。
二つ目はWebデザイン業です。ホームページやLPの制作、グラフィックデザイン、ネットショップの制作を行っています。
シューズ同様にヒアリングをとても大切にしています。クライアントの考えや思いをヒアリングし、それらをベースにデザインさせていただきますので、2つとして同じデザインはありません。人や会社ごとにそれぞれ考えがあるように、デザインも同じだという思いで取り組ませていただいています。
また、当社では制作後のアフターフォローも大切にしております。何かあった時に気軽にお声かけしていただけるよう、誠実な対応を心がけています。
三つ目が自社のオリジナル商品を販売するEC事業です。当社オリジナルBRANDの「Itsuki(いつき)」では、「木や自然と触れ合う文化を身近に感じ、たくさんの人たちに楽しんでもらいたい」という思いで、商品を企画しております。ひのきの入浴剤など、リラックスをテーマに、自然由来のオーガニックな商品展開となっており、一部、廃棄予定の国産木材を、デザインの力でアップサイクルした商品も扱っております。

雑談の中からヒントを得て、新事業を立ち上げ

オリジナル雑貨ブランド「Itsuki」事業は、三つの事業の中でも異色な印象がありますが、詳しく教えてください。

父親が材木卸しの事業をしていているのですが、たまたま食事中に出た話がきっかけとなりました。材木を既定のサイズ感に製材する際に色々な廃材が出るという話でして、廃棄するのにもお金がかかるという話を聞きました。国産のとても素晴らしい質感の材木であっても、売り先や用途がなければ保管場所にも困るため、廃棄せざるを得ないという実情を知りました。それらの実情に驚いたことから話が広がっていき、「素晴らしい素材なのに、捨てるなんてもったいない。アップサイクルし、商品にするのはどうか」という、雑談ベースから広がっていったことがブランドスタートのきっかけです。
使える木材を燃やして処分すれば、CO2排出の原因にもなります。廃棄予定の素材を、デザインの力でアップサイクルし、「日本の素晴らしい木の文化をたくさんの人たちにもっと楽しんでもらいたい」。そんな思いで、木を中心にした小物や雑貨といった、オリジナル商品の企画・開発を始めました。使用していただくお客さまに喜んでもらうことを第一に、環境負荷についても微力ながら少しでも減らし、SDGsへ貢献できればと考えています。

会社員時代の経験から、何よりも大切にするのは従業員の健康とやりがい

健康経営優良法人2024の認定取得、従業員を大切にされている印象がありますがいかがでしょう?

健康経営優良法人については、知人に勧められたことがきっかけで所得しました。創業当時は、こういった認定があることを知りませんでした。ただ、この認定をきっかけに意識は変わったと思います。当社独自の取り組みとしましては、自社開発したひのきの入浴剤を、従業員に無料配布しています。入浴を通じて、ライフスタイルや心身のバランスを整え、いきいきと働いてもらうサポートになればと思っています。

今後従業員のために導入したい複利厚生サービスはありますか?

社員が仕事のことを考えずに心置きなく休暇が取れるよう、特別休暇の設定を作りたいですね。
人々のライフスタイルを、より豊かで快適なものへと変えていくことをミッションとして掲げていますので、そのためにはまず自分たちのライフスタイルも快適である方が良いと考え、健康経営に取り組んでいます。

自社の強みを生かし、ヒアリングを基にしたデザイン化

ヒアリングを重視されているというお話がありましたが、そう考えるようになった原体験はありますか?

その考えのベースになっているのは、前職での営業経験が大きいです。
法人営業としていろんな方とコミュニケーションを取ることが多かったのですが、その中には企業の上役の方や、商品企画のバイヤーさん、中小企業の社長さん、中国工場の方々など、仕事を通して色々な方とお話しさせていただきました。そこで感じたのは、対話による人間関係の構築の中に解決すべき問題点や、ビジネス拡大のヒントが眠っているのではないかということです。肌で感じたそれらが自分のベースになっているのかなと思います。
また、そういった私の考え、ヒアリングを大切にするという価値観は、当社スタッフにも理解してもらっており、社内に浸透していますので心強く感じています。

御社の強みを教えてください。

シューズの企画・卸売り業では、長期にわたり培ってきた中国との強いパイプがあり、流通経路や管理体制を確立できておりますので、商品開発から納品まで、クライアントのニーズに合わせてスムーズな対応が可能となっております。また、デザイン開発につきましても提案力と自由な使いやすさが売りとなります。
Webデザインでは、業種やサービスごとにデザインの雰囲気をガラッと変えることで、それぞれのターゲットに対して訴求していくことです。ターゲットに親しみを感じてもらい、会社やサービスに興味を持っていただけるように常に考えながらサービスを提供しております。また、前職から製造現場にも精通しており、企画や製造の大変さを理解していることも強みかと思います。その経験から製造業の会社様のサービス理解、強みの発信などにも生かしています。

頼んで良かったと思っていただける会社でありたい

事業をしていて、うれしかった体験はありますか?

どの事業でも共通してうれしかった経験としては、当社で対応させていただいたシューズの企画商品、もしくはWebサイトなどの制作物でお客さまの売上や集客がアップしたと、喜びのお声をいただいた時ですね。 その中には、初めてホームページを作られたお客さまもいます。既存の顧客以外での事業集客に向けて、色々と話をお聞きした上で一緒にお手伝いさせていただき、成果が出た際はうれしかったです。
ネットショップでも、レビューにてお喜びの声をいただくとやっぱりうれしいですね。BtoBでは聞くことのできない「生」のお客さまの声は大変貴重だと当社では考えています。これからもレビューを欠かさずチェックし、良いお声だけでなく、良くなかった際は、サービス向上の指針として大切に受け止めさせていただいています。
そういったお客さまのお声の積み重ねが事業を続けられる原動力です。

大切にしていることを教えてください。

お客さまあってこそ、私たちのビジネスが成り立っていますので、お客さまとのつながりや、お仕事をいただけることに常に感謝の気持ちを持っています。
そして、頼んで良かったなと思っていただけるような誠実な姿勢や制作を大事にしています。その中には丁寧なヒアリングと、お客さまのビジネスを理解することを念頭に置くことで、常に質の高いサービスを提供したいと考えています。

これから先やりたいことや、目指している会社の目標について教えてください。

就業を支援する事業として、社会貢献することに興味を持っています。将来的には会社の事業の一つとして、就労支援や社会貢献に携わる事業を立ち上げたいと思っています。
また、現在一緒に働く従業員が、やりがいを持って仕事に取り組めるよう、私自身も現在の状況に対して改善目標をもって取り組んでいきたいと思います。

取材日:2024年12月9日 ライター:市来 聡

株式会社3.C GRACE

  • 代表者名:長谷川 真一
  • 設立年月:2021年2月15日
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:デザイン事業、Itsuki事業、OEM・ODM事業
  • 所在地:〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江4丁目22-5 光洋ビル602
  • URL:https://3c-grace.com
  • お問い合わせ先:06-6616-9457

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