考えて見ればいまだに 毎日が文化祭。 せっかくなら 面白いものを作りたい。
- 東京
- 有限会社アンドオン 代表取締役 松田敏樹氏
高校時代の同級生で会社設立
まず、有限会社アンドオンを設立されたきっかけをお教えいただけますか?
松田(敬称略):僕と山根は、もともと高校の同級生だったんですよ。
山根:(静かに笑っている)
松田:山根は今では物静かな性格になっちゃってますけど、高校の頃はわりと賑やかな生徒だったんですよ。授業中、ふざけて先生にヤジを飛ばしたりして・・・(笑)。 だから最初は「うちのクラスに“調子のり”がいるな~こいつとは絶対性格が合わないな」とほんとに嫌いなタイプだったんですが、文化祭をやるとなった時に、最初はクラスで盛り上がってたんですが、結局、最後は山根と2人でやることになってしまって・・・ その時の文化祭ノリが、今につながっているかもしれませんね。
では、その時からずっと行動を共にしているんですか?
松田:いえ、卒業後の進路は別々でした。お互い違う大学へ進学し、僕は上海に留学したり、ワーキングホリデーを利用してカナダのトロントで働いていましたから。
山根:その頃、僕はアメリカのサンディエゴでデザインを学んでいました。
距離的にもかなり離れていたんですね・・・では、一緒に起業されたのはいつですか?
松田:お互い就職して、しばらく経験を積んだ後でしたね。僕も山根も、帰国後は別々の会社でテレビ関係の仕事をしていたんです。僕は関西で、情報バラエティ番組を主に制作していたんですが、独立を考えた時に、一緒にやらないかと山根を誘いました。
アンドオンという社名はどういう想いで命名されたのですか?
松田:「世の中をそっと照らす灯火」という意味を込めて「行燈(あんどん)」を「アンドオン」と、ちょっと英語っぽくもじりました。暗ければ暗いほど、ちょっとした灯りでも存在感が増しますからね。 また、僕の娘が「アン」という名前なので、娘の名前も入っています(笑)。ちなみに最近、山根にも娘ができて彼も父親になりました。
山根:うちの子は「ドン」という名前ではありませんけどね(笑)。
では、アンドオン設立後は、どのようなお仕事から始められたのですか?
松田:当社の設立は2005年ですが、ちょうどその頃、インターネット上で動画の活用が活発になってきていたんです。だから、2人だけという小回りの良さを生かして、お手頃な価格で動画コンテンツを制作することから始めました。僕がカメラを回して、山根がパソコンで編集や画面デザインをしてくれる、という役割分担でしたね。
山根:たった2人だけでも一定以上のクオリティの映像を作れる、というのが我々の強みでした。当時、他の映像会社ではテレビ番組並みの機材を使った、大きな予算のかかる映像を作る手法が主流でしたから。
松田:高価な機材や大人数が必要な案件もありますが、中には、そこまでの予算は割けない、というお客様もたくさんいらっしゃいますからね。ですから当社では、お客様の相談内容やご予算に合わせて柔軟に対応しています。
インターネット上で動画を作られる上で心がけられていることはありますか?
松田:基本として、だいたい2分50秒以内に収まる映像にするよう心がけています。 インターネット上の動画は「ながら見」の多いテレビとは違って「集中して観る」ものですからね。あまり長いと見る方が疲れてしまいます。ですから、3分には満たない程度の長さがちょうどいいと提案しています。
山根:もちろん、企画によっては3分以内に収まらない動画もありますが、その時には我々なりの工夫をこらして最後まで見ていただけるように努力しています。
では、御社が制作される映像作品の特色とはどんなものでしょうか?
松田:僕がもともと情報バラエティ番組の制作に携わっていたこともあって、やはりバラエティ色のある楽しい映像作りを最も得意としています。 せっかく僕たちが作るなら面白いものを作りたい、という思いがあります。
山根:かっこいい映像を作れる会社は東京にはたくさんありますからね。そこは他に任せてもいいかな、とも思っています。
松田:こう言ってますが、山根はかっこいい映像も作れるんですよ(笑)。 でも、かっこいい物を作る中にも、どこかにアンドオンならではの面白さや個性を盛り込みたいですね。
楽しい番組というと、思わず笑ってしまうような作品を作られるということでしょうか?
松田:もちろんそういう作品を作ることもありますが、さらに突っ込んで言うと、皆さんの興味を引く作品にしたいという意味が強いですね。 中国語で「面白い」という言葉は「有意思」と書くんですよ。また、英語のinterestingも「興味を引く」という意味ですよね。その言葉の通り、僕たちの作品を見る人たちの「意思」に働きかけて「このサービスを利用したい」「この商品を買いたい」と思っていただけたら嬉しいですね。
業界や集団を盛り上げるコミュニティマネージャー
今後も人々の関心を引く映像作品づくりを専門に行っていかれるのですか?
松田:もちろん映像作りも続けていきますが、実は、映像だけを専門にしていこうという考えは設立当初から持っていないんですよ。 僕たちの仕事は映像を作ることではなく、「伝えること」のお手伝いだと考えています。現在、映像制作が中心になっているのは、たまたま僕たちがテレビ制作に携わっていたからです。 ですから、何かを「伝えたい」と考えているお客様からの依頼があれば、映像に限らず、様々な手法を検討してお手伝いしたいと考えています。 その一環として、今後は新たに「コミュニティマネージャー」としての業務にも力を注いでいこうと考えています。
コミュニティマネージャーとは、どのような役割を務めるのでしょうか?
松田:簡単に言いますと、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やブログ、Twitterなどを管理して楽しく盛り上げるお仕事ですね。具体的には、お客様の「ファンの集まり」を形成して、そのサークル活動が楽しく円滑に進むようにお手伝いします。 例えば、とある焼き鳥屋さんが、当社にご依頼くださったとしたら、当社はコミュニティマネージャーとしてFacebookなどのSNS上にコミュニティを形成します。そして、その焼き鳥屋さんの他とは違うこだわりや面白い店員さんなどを紹介したり・・・と、皆さんを楽しませられるような情報を映像・写真・テキストを駆使して定期的に更新し、ファンを増やして盛り上げていく。バラエティ番組制作の経験上、どんな些細なことでも拾い上げて「面白い」ことを見つけるのは得意ですから(笑)。
では現在、どのような企画を進められているか教えていただけますか?
松田:今は、日本ビアジャーナリスト協会さんからの依頼で、Facebookページを制作しています。クラフトビールの楽しさや美味しさをわかりやすく伝えて、日本ビアジャーナリスト協会の発展に協力してクラフトビールブームの一翼を担いたいですね。
サイトを立ち上げるのではなく、Facebookを利用されるのですか?
松田:はい。以前ならホームページや、コミュニティサイトを作るとなると、それなりのイニシャルコストがかかりました。デザインを組み立てたり、サーバーを借りたりと・・・、ですが、Facebookのスペースを利用すれば、それらのコストをすべて削減できます。こんな無料のネットインフラを利用しない手はないですよね。
クライアントにとって手の届きやすいサービスを手掛けられていくのですね。
松田:はい。ありがたいことに現在では大手企業様からのご依頼もいただいておりますが、今後も引き続き個人や中小企業様からのご依頼も大切にしていこうと思っています。先ほど話した例のように「うちの焼き鳥屋を盛り上げて!」という依頼でも大歓迎です。 考えてみれば、いまだに毎日が文化祭ですね(笑)。 僕たちの映像制作に対する姿勢を一言で言うなら「町の映像屋さん」ですからね。大手の広告代理店や映像制作会社だったらコストに見合わないようなお仕事でも、しっかり形にしていきたいと考えています。その姿勢は、コミュニティマネージャーとしての仕事に対しても同様です。
山根:アンドオン設立当時、我々が使っていた機材はディレクターカメラとノートパソコンが一台ずつでした。松田が撮って、僕が加工する。その最小単位で個人のお客様からの依頼も受けてきたんです。
松田:「お客様と一緒に作っていく」というのが当社のスタンスです。大企業には大企業なりの宣伝活動がありますが、個人や中小企業でも大企業に負けない宣伝活動ができるインフラが、すでに整っていると思っています。情報を面白く“伝える”ことを事業の主軸として、個人や中小企業のお客様からも頼りにされる身近な存在であり続けたいですね。
取材日:2012年5月31日
Company Profile of 有限会社アンドオン
- 代表取締役:松田敏樹(まつだ・としき)
- 事業内容:
- 映像制作/CM・カタログ映像・展示会映像・WEB動画・各種PV
- インターネットコンテンツ企画・制作
- 資本金:5,100,000万円
- 所在地(本社):東京都新宿区新宿5-18-13
- TEL:03-5848-3951
- FAX:03-5848-3953
- URL:http://www.andon.tv/
- Facebook:http://www.facebook.com/andon.JPN
- 問い合わせメール:info@andon.tv