『13歳のハローワーク』ネクストプロジェクト これまでになかったビジネスモデルを
- 東京
- 株式会社トップアスリート 代表取締役社長 代田昭久氏
立ち上げて1年半で、月間40万ユーザー、300万ページビューの 規模に育った『13歳のハローワーク』公式サイト。
あの村上龍さんが、子供向けに就職にまつわる啓蒙をした『13歳のハローワーク』。きわめてユニークな出版企画でしたが、それをサイトにするという着想もまた、輪をかけてユニークですね。
着想は、『13歳のハローワーク』のネクストプロジェクトです。あのユニークなアプローチを、1冊の本だけで終わらせておくはあまりにも惜しい。関連イベントや映像化など、ビジネスとしての派生の可能性を企画書にまとめ、出版元の幻冬社さんにアプローチしたのがことの始まりです。
サイトには、同著の内容が公開されていますね。
初版から2年経っていたとはいえ、ベストセラーの中身を全部公開するのは、日本では初の試みです。サイトの広告収入からロイヤリティをお支払いするという仕組みが合意に達して、実現しました。サイトのオープン以来、本の売り上げが再び上向くという現象まで起っていますから、ネクストプロジェクトとしてはかなり的を得ていたといえるでしょう。今後は、リアルなイベントを実施したり、仕事や学びの動画を掲載したり、DVDの販売などに展開していく予定。これまでになかったビジネスモデルを確立できると考えています。
企画書を書いて提案した動機は?
本のコンセプトに感銘を受けたということですね。あの本が提示した問題意識が、私の中にもあったと言ってもいい。私はリクルートという会社に在籍し、大学生の会社選びのお手伝いをしていました。思い返せば、当時から確かに、就職活動は大学生になってから慌ててやっても間に合わないなあという感想はあった。ですから、『13歳のハローワーク』を手にとった時にまず浮かんだのは「やられてしまった」という感想でした。
その「やられてしまった」を逆手にとって、ニュービジネスを立ち上げたわけですね。
ビジネスは二の次なのかもしれません。中学生に世の中の仕組みを教えること、どんな仕事があるのかを伝えること、そしてそれは「好き」で選んでいいんだということを教えてあげることは、教育問題に深く結びついていますし、意義の大きなことだと思いました。
立ち上げて1年半、『13歳のハローワーク』公式サイトは順調ですか?
おかげ様で月間40万ユーザー、300万ページビューの規模に育っています。子どもが大人に相談できるQ&Aのコーナーでは、回答者である大人の方の登録者が3000名を越えました。自衛隊、政治家の方からパティシエ、銀行マン、デザイナーまであらゆる職業の方々が、日々子ども達からの質問、相談に答えてくださっています。
電波に頼りきった映像事業分野に一石を投じたいと思っている。
御社は教育メディア事業、映像制作事業、DVD販売事業を3本柱としていますが、現在は教育メディア事業へのウェイトが上がっているという状況ですね。
会社設立の発端は映像制作事業ですし、それは今も重要な柱です。起業家の先達たちが業界の古い体質にチャレンジしていったように、電波に頼りきった映像事業分野に一石を投じたいと思っている。 電波以外のメディアが徐々に力をつけてきている中で、ブレイクスルーの瞬間は近いはず。その瞬間を睨んで、今は映像制作力を蓄えているところです。
映像制作のノウハウがあれば、新しいメディアの時代に飛躍できるということですね。
そう考えています。現在の映像制作事業は、主に大学のプロモーションビデオ。高校生が大学を選ぶ助けになるもの。エキサイティングな演出を特長としたビデオ制作で好評を得ています。 そんな活動の延長線上で、独自のメディアを育てることが最終目標ですね。メディア構築という意味では、『13歳のハローワーク』公式サイトも同じベクトルの上にある事業です。
そう言われてみると、どちらもメディア事業ですし、教育にまつわる事業でもあるのですね。
結局そうなっていますね。実は、私の両親は教師で、兄も教職に就いています。そんな環境に反旗を翻してビジネスの世界に身を投じたつもりだったのですが、気がついたら、結局、教育にまつわることをしていた。そういうDNAを継承していたようなんです。
とにかく中高生の役に立ちたいのです。彼らの悩みは深い!
教育ビジネスには、確かに取り組む意義の深さや大きさがあると思います。しかし、簡単に利益を出せる分野でもなさそうですが。
教育事業は、取り組めばすぐに利益が出るという世界ではありません。ですから、利益だけを追求する心構えで挑んでも、待っているのは破綻でしょう。しかし、その本質に真摯に取り組み、地に足の着いたビジネスモデルを組み上げれば、必ず成果があがると信じています。その成果は、利益とともに大きな達成感をもたらしてくれるはずです。
たとえば、儲からないビジネスなら、NPO法人でという道もあるのでは?
それは、考えていません。あくまでビジネスとして取り組むつもり。ビジネスモデルを作っていくことに、意義があるのだとも思っています。
なにが、代田さんをそこまで駆り立てるのですか?
とにかく中高生の役に立ちたいのです。彼らの悩みは深い!私が子供の頃には、親に相談できない、先生にも相談できないことは、知り合いのおじさんやおばさんに相談しようという環境があった。でも、今は、本当にそれがないのです。『13歳のハローワーク』公式サイトにはカウンセリングのコーナーがあって、そこには驚くくらい多くの中高生からの相談が寄せられています。
そんな意義深い活動が、ビジネスとして成功することを祈っています。
頑張ります。奥の深いジャンルなので長い取り組みになると覚悟しています。7月には、サイトの内容をフリーペーパーにした『みんなの未来地図』が発刊されます。ぜひ注目していてほしいですね。
取材日:2007年6月14日
株式会社トップアスリート
- 代表取締役社長:代田昭久
- 資本金:2300万円
- 事業内容:
- <教育メディア事業>
- 教育系 WEBサイトの企画・立案・運営・管理業務
- 教育系 eラーニングシステムの開発業務
- 学校の生徒・学生募集戦略立案コンサルティング業務
- 教育系出版物の企画・制作業務
- その他、関連業務
- <映像制作事業>
- TV・CS放送の番組制作業務
- 学校の生徒・学生募集のためのプロモーション映像制作業務
- 企業のイベントおよびリクルーティング
- <映像制作業務>
- 商品・住宅などのプロモーション映像制作業務丸オリジナルDVDの企画・制作・発売業務
- 書籍、DVD等の出版事業
- その他、関連事業
- <教育メディア事業>
- 設立:2003年8月
- 所在地:〒141-0021 東京都品川区上大崎3-5-8 アクロス目黒タワー2104
- TEL&FAX:03-3440-5939
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