ブレグジットは理想世界の終焉?
東京
編集ライター
海外暮らしと帰国してから
Joshy氏
イギリスが2020年12月31日をもって欧州連合(EU)から離脱しました。
2016年の国民投票で国民の52%がEU離脱を支持したことを機に始まったブリグジット(イギリスのEU離脱)が、これで完了したことになります。
●共通通貨ユーロの導入で、ヨーロッパ内の旅行が楽になったこと
●EUの同盟国内での課税がなくなり流通がスムーズになったこと
●検問所が廃止されて国境がなくなり、国を自由に行き来できるようになったこと
●マルティン・ルターの宗教改革から約500年間分裂していたカトリックとプロテスタントが「教理は同じである」とドイツのアウグスブルクで調印(和解)したこと
このような2000年代に起こった奇跡のような和合の歴史を経験した自分にとって、イギリスのEU離脱は少なからずショックな出来事でした。
ヨーロッパは多種多様な民族と国家が存在する大陸で、宗教・文化・経済などの違いから紛争が繰り返されてきました。
そんな長い歴史の傷を抱えるヨーロッパの国々がひとつとなったEUは、まさに「愛と平和のしるし」だったはずです。「自分たちはヨーロッパ人だ」という新たなアイデンティティが生まれ、理想世界をなそうとする希望に燃えていた、そんな時代でした。
4年半の離脱プロセスを終えたボリス・ジョンソン英首相は、イギリスが「自由を手にした」と言ったそうですが、真の自由とは人と人、国と国が手と手を結びあうことで憎しみから開放されることではないかと思うのです。
プロフィール
編集ライター
Joshy氏
ヨーロッパに20年間滞在し、日本のメディアに情報を発信してきました。海外生活で経験したこと、帰国して感じたことを綴っています。