流行を先取りしてきたニベアの歴代広告
クリームなどでおなじみのニベア。実はドイツ製だってご存知ですか?
ニベアは、世界初のウォーターインオイル型乳化クリームとして、1911年にドイツ・ハンブルクで生まれました。NIVEAという名前は、「純白」を意味するラテン語niviusにちなんで名づけられたといいます。ロゴの青に浮かび上がるような白抜きの文字は、缶を開けた時に覗く真っ白いクリームを彷彿させる卓越したデザインだと思います。
このニベアを象徴するブルーの缶は世界中に浸透しています。長年愛用する身近な製品ゆえ、西洋圏に限らず、中東やアジアでもニベアのことを自国製品だと思っている人が多いそうです。
下の広告は1969年のアラブ圏で展開された広告ですが、バカンスへの高揚感が上手く表現されています。ニベアってアラブ語でこう書くのですね〜
ブランドとして100年以上の歴史を持つニベアの広告やパッケージデザインは、時代性を色濃く反映しています。
興味深いのは広告ビジュアルの女性像が、すでに1930年代にしてスポーティな女性のイメージを打ち出してきたことです。冒頭のスキーの広告は、当時とても画期的だったといいます。
1943年のポスターは、ビキニ姿の女性を起用してセンセーションを巻き起こしたそうです。当時ビキニ姿の女性広告は珍しく、ヨットを操るモデルのエリー・クナップは、後に初代大統領テオドア・ヘスと結婚しドイツ初のファーストレディとなりました。
また、女性の製品というイメージを変えるために、子供や男性を使ったPRを展開してきたのもニベアの広告の特徴です。ドイツでは、これによって家族のための「万能スキンケアクリーム」というイメージが浸透しています。
1925年の広告では、健康的な男の子を起用していますが、この「ニベア・ボーイズ」の愛らしい様子は、当時の女性のハートを鷲掴みにしたといいます。
ドイツではニベアは、現在も皮膚科の医師に勧められるほど成分に信頼が置かれています。リーズナブルな価格帯のスキンケアクリームとして、大衆に愛され続けてきたニベア。あの青い缶のほっとする感じには、流行にまどわされずいつまでも変わらない「誠実さ」が込められているように感じます。