竹富島にて
沖縄県
ライター
Jun Nakahama
仲濱淳氏
前回のコラムで「旅がしたいな~」と嘆いていたばかりなのに、その後すぐに結構な遠出を出来てしまった。取材とはいえ、竹富島への旅だ。石垣島からフェリーで15分程度で行ける竹富島は、ひときわ古い集落が残る風情ある場所。「石垣の間の細い道を歩く水牛車」、とかの写真を見たことのある方も多いと思う。
一泊二日の取材を通してで特に印象に残っているのが、サバニという船に乗ったことだった。この船はかつて八重山諸島間を行き来するための大事な交通手段だったそうだ。
海はキレイだし風は気持ちいし、とっても快適。しかしこんなカヌー程度のサイズの船に乗って、昔の人はよく何時間も航海したものだ。観光として単純に楽しめる今をありがたく感じると同時に、海とともに暮らすしか選択肢のなかった昔の苦労を思う。船を操縦してくれるスタッフが言っていた。「昔の竹富島には産業がほぼなく、貧しい島だった。だからサバニを使って隣の島に出稼ぎに行ったり、米を育てたりして生きていた」。観光業で脚光を浴びるようになってもなお、沖縄の中でもあまり豊かとはいえない島。日本の中における沖縄のポジションに、少し似ている。
スピードを上げるサバニに乗りながら海の中を見ると、なんという透明度!でもこの美しさやまばゆさが、妙に切なかった。
プロフィール
ライター
仲濱淳氏
雑誌・WEBマガジン編集職を経て、4年前よりフリーランスライターとして沖縄県で活動中。アラフォーだけどいつまでも厨二病が抜けないのが悩み。