年末年始は毎年実家に帰省していたため、沖縄で過ごしたことが実はない。暖かい正月というのはどんなものかと少し興味はあるものの、この時期ばかりはどうしても、内地のキンとした寒い空気の中に身を置きたくなる。飛行機は正月料金で高くなるし、那覇空港も羽田空港も混み合うしと、旅のタイミングとしては決してよくないとはわかっているものの、人混みをかき分けいそいそと家路へと向かってしまうのだ。

そんな正月の過ごし方も、今年で終わる予定だ。というのも、今一人暮らしをしている私の父が、今年中に沖縄に引っ越してくるから。こうなると、当たり前のように帰っていた場所が名残惜しくなるもの。いつでも行けるから、、、と思っていたあの場所やこの場所へ、行っておかなければという気になる。しかし年末年始は休館、休園ばかりで、なかなか行ける場所が見つからない。ならば、予約不要で年中無休のあの場所へ！ということで、浅草の寄席を訪れた。

正月の浅草を、完全になめていた。日本一混んでいるのではなかろうか？満員電車のような人の波に体を委ねて、少しずつ進むしかない。まあこれさえも娘にとっては初めての体験、楽しんでいたようでよかったけど。そして寄席。これも立ち見の大入り満員。なんとか空席が出たので座ったものの「疲れた」という娘の一言で、あえなく退場。でもわずかながらも、正月の華やいだ雰囲気や、落語家さんの軽妙な話術を楽しめた。こんな正月を、来年からは過ごせなくなるのね。と、ちょっと感傷的にもなった正月だった。