職種その他2020.09.19

「メディカルハーブ検定」に挑む(前編)

Vol.3
編集者・シニアハーバルセラピスト (JAMHA認定)
メディカルハーブライフ
二橋彩乃

(前回まで)
家族の病気や自身の体調不良を経て、メディカルハーブに興味を持つ。
学ぶなら検定資格を取ろうと思い立つが、試験まで残り3週間と知る。

「メディカルハーブ検定試験」の案内を握りしめ、書店に駆け込んだ。
検定用の公式テキスト本は、生活実用書コーナーでひっそりと棚差しされていた。

どんと積まれた料理レシピのムックやヨガの本と比べて、
ハーブの雑誌や本は少なく、ちょっぴり寂しかった。
資格を無事に取得したら、もっとハーブの本を作るぞ!と書棚の前で燃えた。

この検定資格の名は「メディカルハーブコーディネーター」。

15種類のハーブについて、安全性、有用性、様々な使い方を理解して広めることができ、
仕事で使うための基礎知識に加え、薬事関連法も身につく。
https://www.medicalherb.or.jp/learn/certificate/medicalherb-coordinator

その晩から、さっそく勉強をスタート。
テキストはフルカラーで植物のイラストや写真が多用され、
独学でも楽しく学べる配慮があった。

ただ100頁弱と薄めながら、思いの外、盛りだくさんだった。

最初に、メディカルハーブの歴史をおさえ、
次に15種類のハーブの学名や使用部位、機能や作用などを覚えて、
最後にハーブを利用する具体的な方法や、症状別のブレンドレシピを学ぶ。

世界史が好きな私は、特にメディカルハーブの歴史に思いを馳せた。

紀元前1700年頃、古代エジプトのパピルスには、ハーブをうがい薬として使用した記録がある。
紀元前1000年頃、インドのアーユルヴェーダの本には、数百種類の薬用植物が記述されている。

大航海時代はスパイスやハーブが世界中を行き交い、
新大陸からヨーロッパへと新たなハーブも伝わる。
植物療法の専門家(ハーバリスト)たちが大いに躍進する。

10世紀には植物から精油を蒸留させる、アロマセラピーの基礎もできた。
蒸留法はもともと錬金術の技術から確立されている。

古代文明の時代から、人は、多くの植物に助けられ、
経験の積み重ねにより薬効を見出しながら、後の世へと伝えてきた。

植物は人間のために存在しているわけではないのに、
こんなに人間に力を貸してくれている。
(植物は、生存のために自ら化学物質を作り出しているだけ)

植物のたくましさ、生き抜く力強さに心を打たれ、
人間への貢献に感謝の念が湧き上がった。

当初、この検定で学べるハーブについて「たった15種類?」と思っていた。
しかし、学び始めてすぐ15種類でも多いくらいだと感じた。

同じハーブでも、花か葉か茎かなど、使う部位によって異なる作用がある。
一つのハーブが、矛盾する作用の成分を持っていることもある。
医薬品と併用してはいけないハーブもある。

特筆すべき最大の特徴は、一つ一つのハーブが多様な成分を含むため、
ブレンドにより「相乗効果」を狙えること。

15種類から、多様な症状に対応できるブレンドができるのだ。

このブレンドテクニックは、知識だけでなく経験で積み重ねていくもので、
ハーブ専門店の商品などは、とても参考になる。

また利用方法も、ハーブティーはもちろん、
湿布や軟膏、チンキで作る消毒液や、ハーバルバス、マッサージオイルと、たくさんある。

しっかり使いこなすには、私のような完全な初学者は覚えることが多かった。

テキストを購入した翌日、15種類のハーブと、
その成分を抽出するための材料(基剤)やガラス製カップを買い込み、
試験当日まで、ハーブ漬けの日々が始まった。
(続く)

プロフィール
編集者・シニアハーバルセラピスト (JAMHA認定)
二橋彩乃
2つの出版社でデザイン、アート、生活実用など多ジャンルの編集経験を経て独立。独立後の仕事に『マンガで実用 使える禅』(編集・執筆/朝日新聞出版)、『美術館&博物館さんぽ 首都圏版』(編集制作/ぴあMOOK)、雑誌「セラピスト」(取材・執筆/BABジャパン)など。ハーブの魅力にとりつかれ、ハーバルセラピスト、シニアハーバルセラピスト、メディカルハーブコーディネーターの資格を取得(日本メディカルハーブ協会認定)。

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