「メディカルハーブ検定」に挑む(後編)
(前回まで)
家族の病気や自身の体調不良を経て、メディカルハーブに興味を持つ。
資格を取ろうと思い立ち、試験の3週間から猛勉強をスタート。
*
さっそくドライハーブや、ハーブの成分を抽出するための材料(基剤)を買い込み、
生活の中で試しにハーブを使ってみることにした。
検定で出題の対象となるハーブは15種類。
それぞれについて主に学名、使用部位、主要成分、作用、適応などを学ぶ。
知識が問われるのでとにかく覚えなければならないが、
単純に詰め込む暗記が昔から苦手だった。
そこで、それぞれのハーブのキャッチから、ハーブごとの性格を思い描いた。
※公式テキストで掲載されている「呼び名」として定まっているものもあるし、
私が勝手にイメージでつけたものもある。
・ジャーマンカモミール「ピーターラビットのミルクティー」
→ピーターラビットの童話に登場することから。
お腹をこわしたピーターに、母親がミルクティーにして飲ませている。
・ペパーミント「飲み会ハーブ」
→食べ過ぎ・飲み過ぎによる消化器系の不快感を鎮めてくれる。
消臭や、ブレンドの際の味の調整にもよく使われるハーブ。
・ウスベニアオイ「レモンで魔法」
→ハーブティーでは美しい青色が楽しめるが、レモン汁を垂らすと一瞬でピンク色に
(酸性に変化するため)。粘膜保護が得意。
・エルダーフラワー「インフルエンザの特効薬」
→この欧米での呼び名に最初は「そんなバカな……」と思ったが、発汗を促したりアレルギー症状を抑えたりする。
風邪や花粉症にも適応する優秀なハーブ。
・エキナセア「免疫力を高めるハーブ」
→感染症の予防に用いられるハーブ。
コロナ禍で特に毎日飲んでいるという編集者の知り合いもいる(飲みすぎると逆効果)。
・セントジョンズワート「サンシャインサプリメント」
→沈んだ気持ちを明るくしてくれるので抑うつにオススメだが、併用注意の医薬品もある。
季節の変わり目などでセンチメンタルなときにもよいハーブ。
他にも、
ダンデライオン「世界のナチュラルメディスン(自然薬)」
ネトル「花粉症・アレルギーの友」
ハイビスカス「ローズヒップの相棒/天然のスポーツ飲料」
パッションフラワー「植物性の精神安定剤」
マテ「飲むサラダ」
マルベリー「ダイエット中のあの子へ」
ラズベリールーフ「安産のお茶、女性の味方」
リンデン「シューベルトのリンデンバウム」
ローズヒップ「ビタミンCの爆弾」
……など。
鮮やかな色、独特の香り、ユニークな歴史など、それぞれのハーブに特徴があって面白い。
さらに、周囲を巻き込んで、人に勧めたり贈ったりしながら成分や作用を覚えることにした。
糖質制限をしている叔母には糖分吸収を抑えてくれるマルベリーを、
多忙で不摂生が続く編集者の友人には、ビタミン・鉄分・ミネラルが豊富なマテを贈った。
ジムで走り込む夫にはハイビスカス・ローズヒップのブレンドでエネルギー代謝アップを狙い、
人によく会う営業職の友達には、ラズベリーリーフとペパーミントで作ったマウスウォッシュをプレゼントした。
毎月、PMS(月経前症候群)で憂鬱だという後輩にはラズベリーリーフを勧め、
花粉症に悩んでいた私自身は、エルダーフラワーとネトルのハーブティーを毎日飲み始めた。
仕事の打ち合わせ中に、社交辞令で尋ねてくれた人にさんざんハーブ講義を披露し、
ハーブ専門店に通いブレンドのコツをしつこく教わり、植物の専門書も買い込んでいるうちに、
あっという間に試験当日を迎えた。
大学の講堂で行われた試験会場には、予想通り女性の受験者が多かったが、年代は様々だった。
個人的には、試験の難易度は、それほど高くなかったように思う。
正誤や選択式の問題は、引っ掛けようとしている意図が分かりやすかった。
こうして数週間後、無事に「メディカルハーブコーディネータ」の合格通知を手に入れることができたのだった。
(続く)