編集者になるには?目指し方や向いている人、給料など
編集者とは、書籍、雑誌、漫画、Webメディアなどの記事を企画・管理・編集・制作し、作品として世に送り出す職業。具体的には、その作品に関わるさまざまな役割の人をまとめます。作家、デザイナー、ライター、スチールカメラ担当、イラストレーター、漫画家などです。
この記事では編集者の具体的な仕事内容や向いている人、給料などをご紹介します。これから編集者を目指したい!という方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 編集者とは
- 編集者になるには?
- 書籍・漫画・雑誌編集者の違い
- 紙媒体の編集者とWeb編集者の違い
- 編集者に求められるスキル・向いている人
- 編集者のキャリアパス
- 年収・給料・収入
- 編集者の求人・転職状況について
- まとめ
編集者とは
編集者とは、前述の通り、作品の制作に関わるさまざまな役割の人々をまとめ、決められた期日までに円滑に進むよう責任をもって管理する、いわばプロデューサーのような役割を担っています。
編集者のやりがい
編集者は個人の裁量が大きいため、自分の手掛けた出版物が完成し世に出版されたときは、大きな達成感を味わえるでしょう。何より、自分の手掛けた作品が多くの人の目に触れ、人の役に立てるというのは大きな喜びや充実感につながります。
編集者の大変なこと
ただ、締め切り厳守で常に時間に追われるため、体力や精神力に自信がある人でないと務まらないハードな面もあります。たいていの出版社や編集プロダクションには仮眠室が用意されている環境からも、編集者の忙しさが想像できます。
また、前述したように、様々な役割の人と連携をとるため、作家さんとのコミュニケーションや人間関係などでの苦労が多いことも事実です。しかし違う見方をすれば、様々なタイプの人と出会えるという面白さや、新しい情報に触れるという機会が多く、自身の知識の幅を広げられることが直接的なやりがいにつながっていくのではないでしょうか。
編集者になるには?
編集者になるための一般的な方法は、出版社や新聞社の出版局、編集プロダクションへ就職することです。
編集者になるための必須資格は無いため、編集者になるための唯一の条件は、就職を希望する出版社や出版局、編集プロダクションがそれぞれ実施する「入社試験」を突破することになります。
編集者になるための学歴
編集者を養成するための短大や専門学校で、「文芸学」「社会学」「マスコミ学」等を学ぶ方法もありますが、大手出版社や新聞社の出版局では、「4年制大学以上」の学歴を採用条件にしていることがほとんど、という現状です。
また、大手以外の中堅・中小の出版社は、正社員募集そのものが数年間ないことも多く、毎年、新卒の採用人数に対して志望者が殺到する傾向です。そのため、入社採用試験の倍率は数十倍から百倍を超えることも珍しくなく、狭き門となっています。
実際に、狭き門である入社試験を突破して希望の出版社に入社できた場合も、編集部への配属とはならずに他の部署に配属されてしまうケースもあります。宣伝部、販売部、営業部、出版企画部、Webメディア部門などの様々な部署で経験を積むこともあるため、自分の担当業務の中でやりがいを見つけながらも目標を見失わず、チャンスをものにしていく行動力が必要となるでしょう。実務経験が何より重視される職種のため、中には契約社員やアルバイトでアシスタント経験を積んでから正社員になる、という人も一定数います。
編集者になるために必要な資格
編集者に必須の資格はありません。しかし自分の能力を証明するのには、資格が役立つこともあります。「校正技能検定」「書籍製作技能検定」「DTPエキスパート認証試験」など、業務と関連性の高い資格は、就職時の意欲アピールにつながる可能性があるため、取得しておいて損はないでしょう。Web編集者の場合では、Webライティング能力検定やウェブデザイン技能検定などがその資格にあたります。
書籍・漫画・雑誌編集者の違い
編集者の仕事の種類は、「紙媒体」と「Web媒体」で大きくわかれます。そのなかでも、紙媒体では「書籍」「雑誌」「漫画」の3種類です。最近ではWebサイトの記事や電子書籍、メルマガなど、Web媒体においても文章やコンテンツ制作を手掛ける編集者が増えてきており、活躍の幅は広がってきていると言えます。
書籍
書籍には「文芸書」「ビジネス書」「美術書」「児童書」「写真集」「辞書・辞典」など、さまざまなジャンルがあります。書籍編集者は、外部ライターや作家、スチールカメラ担当、アーティストの方々との打ち合わせや取材、撮影依頼を行いながら企画を作り上げていきます。経費精算などの金銭管理も編集者の仕事です。予算管理を行いながらも読者のイメージをしっかりと定め、会社の出版物の傾向を踏まえて企画立案・提案する力が必要となるでしょう。
更に編集者には、企画書で提示した企画案に沿った書籍をスケジュール通りに、確実に刊行する責任があります。適切なタイミングで著者への催促、定期的な内容のチェックを行っていく必要があるため、作家さんと信頼関係を築き上げながら、協力して作品制作を進めていくことが重要に。各専門分野についても対等に議論できるよう、知見を広げていくことの努力を厭わない人が向いているといえるのです。書籍の編集者は、経験を積めば積むほど力になる、やりがいのある仕事でしょう。
漫画
漫画編集者の仕事は、漫画家の先生とともに面白い作品を作り上げることです。
そのため、読者を惹きつけることが出来るか、受け入れられるかどうか、という視点で作品を見極めるセンスが大事になります。具体的には、漫画家さんと一緒に登場人物の設定やストーリー構成を練り、より魅力的な作品を考え、時には作品タイトルやキャラクターの名前、性格などを一緒に考えることもあり、制作段階から深く作品に関われます。
そのほかにも、漫画家さんのメンタル面のサポートや必要な資料集め、取材旅行の準備などより完成度の高い作品を描いてもらうためのフォローも欠かせません。漫画編集者は一般的に、一人の編集者に対して数人の漫画家さんを担当するため、漫画家さんのタイプに合わせてサポートの仕方を変えていく必要があるでしょう。
漫画編集者になるには、出版社や編集プロダクションへ就職し、漫画編集部への配属を目指します。漫画系専門学校や美術系大学でマンガの基礎やアイデア・ストーリーの生み出し方などを学ぶという方法も。さらに最近では、SNSやWebコミュニケーションを活用し、漫画編集者への道を切り開く人もでてきています。
漫画編集者の特権として、漫画家さんが描いてきた作品の、最初の読者になれること。自分が手掛けた漫画家さんや作品が有名になっていく姿を見ることが、漫画編集者を支えているやりがいになるでしょう。
雑誌
雑誌と一言で言っても、「ファッション誌」「ビジネス誌」「情報誌」など、そのジャンルは多岐にわたります。そのため雑誌編集者は、雑誌のコンセプトやターゲットなどに沿って、特集や企画を考えていきます。
求められるのは、時代を先読みする情報収集力と分析力が必要で、時には流行を生み出す想像力や発想力だ。また、より多くの人の手にとってもらうため、読者の目を引くようキャッチコピーの知識があると役立ちます。取材する機会が多い仕事でもあり、取材力や交渉力などのコミュニケーション能力も重要です。
雑誌は書籍などの出版物と比較して発行ペースが早いため、企画を出していくペースが速く、激務になりがち。雑誌編集者に求められる能力は、毎月・毎週やってくる締め切りに追われ続けながらも、情報感度は上げ、多くのアイディアを出していく力です。
ただ、常に締め切りに追われるという苦労がある反面、毎日多くの情報に触れることができ、刺激的で充実した日々を送れる職種と言えます。
紙媒体の編集者とWeb編集者の違い
紙媒体の編集者とWeb媒体における編集者の違いは、大きく分けて「情報量の違い」「数字の管理」の2点が挙げられます。
情報量の違い
1つ目が、“掲載できる情報量の違い”です。紙媒体は文字数やページ数、写真の大きさなど掲載範囲に制限があります。それに比べ、Webサイトはスクロールするだけなので文字数やページ数等の制限がなく、写真や文字のレイアウトの調整も自由に行えます。
数字の管理
2つ目は“数字管理”です。紙媒体と違い、Webメディアの編集者には直接的な集客責任が求められます。紙媒体の場合、一度出版してしまった出版物に修正を加えることは難しいですが、Webサイトの場合は簡単に可能です。Webサイトには、PV数などの明確に集客計測できる指標が存在するため、リアルタイムで読者からの反応を知ることができます。常に読者からの反応に応じ、リライトして記事を差し替えながら、SEOも行い数字管理をしながら仕事を進めていく。これらのことが、これからの時代に活躍するWeb編集者に求められている能力といえます。
このように、紙媒体とWebは似て非なるものであることを理解して、それぞれのルールに沿って柔軟に対応していくことが求められています。
編集者に求められるスキル・向いている人
求められるスキル
編集者の仕事内容はPCと向き合う時間が長いため、基本的なパソコンスキルは必須となります。基本的に、原稿のやり取りはメールで行い、入稿もデータ形式で行うところがほとんどです。そのため、PCをあまり触ったことがない、という人は事前に基本的なパソコンスキルを身につけておく必要があるでしょう。
向いている人
編集者に向いている人は、好奇心旺盛で、あらゆるジャンルに常にアンテナを張っている人です。何事にも探求心があり、時事や一般常識など、幅広い知識を身に付けていることが前提となります。
文章力・構成力も当然求められるため、読書量の豊富さも大事になってきます。これまでどれだけ多くの作品に触れ、知識を得てきたかが、編集者として柔軟な発想力や企画提案力を引き出すために大事な要素となるでしょう。一つの見方ではなくさまざまな視点を持ち、新しい考え方や切り口を見つけられる人が、編集者として力を発揮できると思います。
また、編集者の仕事は常に時間、納期との戦いです。そのため、締め切り日から逆算して計画的に仕事をこなしていく、スケジュール管理能力も求められます。編集者を目指す方は、日頃から時間やスケジュール管理に気を配りながら生活してみると良いかもしれませんね。自分の担当した仕事に最後まで責任をもって取り組める責任感も併せて重要となるでしょう。
さらに冒頭でお伝えしたように、編集者はプロデューサーのような役割を担っているため、様々な役職の方をまとめて作品を作り上げるマネジメントスキルや、取材力・傾聴力などの高いコミュニケーションスキルも求められます。
編集者のキャリアパス
編集者のキャリアパスとして最も一般的なキャリアパスは、「アシスタント→編集担当→編集長」と編集の権限を広げていくことです。
編集長を一度経験すると、他媒体の編集長としても、キャリア横断しやすくなります。また、他企業からヘッドハンティングされるといったことも起こりやすくなります。
編集長として編集力をつけながら更にクリエイティブ力を高めていく努力をしていくことで、市場価値はさらに上がり、より主体的なキャリアを突き進めるでしょう。
年収・給料・収入
編集者の平均年収は400万円~500万円。日本人全体の平均年収と同程度であるといえます。しかしこれはあくまでも“平均”の数字であり、実際には250万円から700万円とその幅は広く、会社の規模や個人の裁量によって大きく左右されます。
一般的には大手出版社ほど年収が高くなる傾向にあり、大手と比較して中小規模の出版社では、給料は低めに設定されていることが多いです。
アルバイトの場合、経験にもよりますが時給は1000円~1500円程度、フリーランスの編集者はどれだけ仕事を請け負えるかによって決まってきます。
ただ、締め切りや期限に追われてハードワークになりがちな職業であるため、いくら収入が安定していても、仕事量と給料が釣り合わないと感じ辞めていく人がいるのも事実です。
※金額は2021年春時点でのものになります
編集者の求人・転職状況について
編集者として働くには、出版社、新聞社の出版局、編集プロダクションなどを目指すのが王道です。ただ、前述したように大手出版社の採用試験倍率は数十倍から数百倍になることもザラで、未経験からの転職は厳しく、中途採用のほとんどは経験者採用です。その理由は、出版社のほとんどが少数精鋭で現場を回してから。どこも一から新人を育てる余裕がなく、常に即戦力を求めているのです。
どうしても未経験から編集者への転職を目指したい! という場合は、出版社や編集プロダクションのアシスタントやアルバイトで経験を積んでステップアップする方法もあります。ただ、アシスタントやアルバイトといっても激務なことには変わりないので、覚悟をもって目標を達成する、高い志が必要になるかもしれません。
また、自分でメディアやブログを立ち上げてSEO知識や編集経験を身に付け、Web関連企業にアピールするという手も有効です。
まとめ
この記事では、編集者になるための具体的な方法や仕事内容、気になる給料や転職について解説してきました。
編集者の仕事と一言で言っても、活字出版物から、漫画、Webメディアまで、活躍の場は多岐にわたります。仕事内容はハードワークになりやすく、タフな体力と精神力が求められます。このように大変なことも多いですが、個人の裁量が試される、やりがいのある仕事です。何より、自身の手掛けた作品が世に出て沢山の人の目に触れることは大きな喜びへとつながるでしょう。
とはいえ、仕事内容や年収に幅のある職種ですので、自分の積みたいキャリアの方向性を見極めながらキャリアパスを積んでいくことが重要になりそうです。
例えば4年制大学へ進学し、出版社や新聞社の出版局、編集プロダクションへの就職を目指し、将来的に編集長を目標にしてみてはいかがでしょうか。また、個人ブログやサイト運営などを通して、Web関連企業にアピールする! という方法も今後は主流になってくるかもしれません。
繰り返しになりますが、日頃からトレンドや社会の流れを敏感にキャッチし、何事にも新しい考え方や切り口を見つけられる人が、編集者として力を発揮できるはずです。のではないでしょうか。
これから編集者になりたい! と思っている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。