沖縄の揚げ物事情
沖縄
ライター
沖縄あれこれ
仲濱淳氏
ファストフードといえば、ハンバーガーや牛丼なんかが全国的にポピュラーだと思うが、沖縄は断然「天ぷら」。1個80円前後で安いし、ふわっと厚めの衣には味がしっかり付けられているので、そのままどこででもパクッと食べられるのも便利。
沖縄の人は、この天ぷらに代表されるような揚げ物を、老若男女問わずよく食べる。お盆正月のオードブルは揚げ物だらけ、某フライドチキン店にはコーラ片手にチキンにかぶりつくおじい、おばあでいっぱい。定食屋には揚げ物てんこ盛りの「Aランチ、Bランチ」なる悪魔のような定食が必ずある。
なんでこんなに揚げ物を食べるんだろう。調べてみると、沖縄風天ぷらはもともと琉球料理で、古くより重箱に入れて振舞われていたご馳走だったそう。物資が不足していた終戦直後は、なんと「モービル天ぷら」、つまりガソリンなどの油で揚げた天ぷらも食べられていたとか。それだけ皆の好物だったということなのだろう。
しかし最近では、オードブル界に変化の兆しが。先日、沖縄の親戚が集まる場にレストランで注文したという洒落たオードブルが並んでいた時のこと。「揚げ物でない」さっぱりとした料理を口にした、義理の父や母たちの発言、「こっちのオードブルの方がおいしいね〜」。揚げ物ばっかりだと、やっぱり飽きるのね。
プロフィール
ライター
仲濱淳氏
雑誌・WEBマガジン編集職を経て、3年前よりフリーランスライターとして沖縄県で活動中