記憶に刻まれた惨事、あの日のこと
東京
編集ライター
映画とラテンと音楽と
JUNTO氏
9月になると思い出さずにはいられない悲劇がある。
それは2001年に米国で起こった911同時多発テロ。
この惨事が起こった時刻に、私は北海道旅行中で、札幌のすすき野にいた。
帰りのタクシーの中で運転手から、
「アメリカですごいことが起こっている」と聞き、
ホテルに戻って部屋のTVのスイッチをつけると、
ニューヨークのワールドトレードセンターに飛行機が突っ込む映像が何度も繰り返し流されていた。
その時はまるで映画でも見ているかのようで現実感がなく、
翌日の帰りの飛行機が無事に飛ぶのかが心配になった。
結局、飛行機は飛んだのだが、ほとんどの手荷物が機内持ち込み禁止。
慌てて荷物を預けさせられたせいで、バッグのポケットに入れた部屋の鍵を紛失。
深夜に帰宅したアパートの部屋の前で茫然としたことだけは、鮮明に覚えている。
その後、事件の犠牲者など様々な現実が明らかになり、
他所の国の他人事として片づけられない悲劇としていつまでも記憶に残ることになった。
上の写真は、憧れのニューヨークを初めて訪れたときに、
海側から撮影した古い写真で、崩れ去る前のワールドトレードセンターがしっかりと写っている。
911の悲劇を扱った映画は数多く作られているが、私がオススメしたいのは、
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」である。
911で父を失い、心にぽっかりと空いた穴を埋められずにいる少年の再生の物語だ。
そしてドイツのヴィム・ヴェンダース監督の「ランド・オブ・プレンティ」は、911によってベトナム戦争のトラウマが再燃し、一人武装して身を守ろうとする男とその姪の姿を描いたロードムービー。
自然災害や無差別殺人、通り魔など、突然、何の前触れもなく理不尽なことで命が奪われる悲劇や辛い記憶は、普段は思い出すことも減っている。
でも哀悼の意を込めて9月11日だけはワールドトレードセンターを思い出す日にしている。
プロフィール
編集ライター
JUNTO氏
普段は固めの記事広告ライター。ときどき映画やラテン絡みでもお仕事してます。
10年前に2年ほどブラジルに滞在して以来、ラテンカルチャーを日本で広めようと奮闘中。
写真は建築家オスカー・ニーマイヤーが設計したリオのニテロイ現代美術館。