職種その他2020.01.27

「ドン・キホーテ」にこだわり続けたテリー・ギリアム監督の入魂作

東京
編集ライター
映画とラテンと音楽と
JUNTO

 日本では「ドン・キホーテ」と言えば便利なディスカウントストアの店名ですが、
この名前の由来はスペインの有名な古典小説「Don Quixote de la Mancha」に出てくる主人公の名前。
現実と幻想の区別がつかなくなり、自分を騎士と思い込んだ初老の男が、一人馬にまたがり、巨大な風車を敵と信じ込んで突撃する物語です。
 このドン・キホーテの物語に取りつかれた映画監督のテリー・ギリアムは、約30年前の1988年に映画化を企画。
莫大な予算を集め、2000年にはジョニー・デップを主役にして映画のクランクインにこぎつけます。
ところがドン・キホーテ役のフランス人俳優の腰痛が悪化し撮影は中断。
大雨で機材が流されるなど不運が続き、撮影は中止に追い込まれます。
この撮影トラブルの顛末はドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』で詳しく紹介されています。

 長年テリー・ギリアムの作品を追いかけてきた私でさえ、呪われた企画「ドン・キホーテ」は幻に終わってしまうのだろう、と半ばあきらめていたのですが、
ギリアム監督はドン・キホーテのように巨大で厚い壁に果敢に挑み、ついに映画を完成させたのです。

 クリエーターの仕事には、ある種の“しつこさ”が大事ですが、妥協せずにこだわり続けることはとても難しいことでもあります。
 新作を取り続けながらも、30年もの長い間「ドン・キホーテ」をあきらめなかったギリアム監督のクリエーター魂には本当に頭が下がります。

 妥協しないこと、あきらめないことも、才能の一つです。
テリー・ギリアム監督入魂の一作『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』は1月24日から日本で公開中です。

(写真はイメージ)

 

ギリアム監督の主な作品:
テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2020)
ゼロの未来(2014) 
Dr.パルナサスの鏡 (2009) 
ローズ・イン・タイドランド(2006)
ブラザーズ・グリム(2005)
ロスト・イン・ラ・マンチャ (2001) 出演のみ 
ラスベガスをやっつけろ (1998)
12モンキーズ (1995)
フィッシャー・キング (1991)
バロン (1989)
未来世紀ブラジル (1985)
バンデットQ (1981)
モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン (1979)
ジャバーウォッキー (1978)
モンティ・パイソン・アンド・ナウ (1975)
モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル (1975)

もう一言:テリーギリアムはイギリスの伝説的コメディ集団「モンティ・パイソン」のアニメーターとしても有名です。モンティ・パイソンの一員だったテリー・ジョーンズが1月21日に77歳で亡くなった際には、ギリアム監督も追悼コメントを発表しています。BBC NEWS JAPANの追悼記事

プロフィール
編集ライター
JUNTO
普段は固めの記事広告ライター。ときどき映画やラテン絡みでもお仕事してます。 10年前に2年ほどブラジルに滞在して以来、ラテンカルチャーを日本で広めようと奮闘中。 写真は建築家オスカー・ニーマイヤーが設計したリオのニテロイ現代美術館。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP