京都でオーバーツーリズムを体験
先月、ブラジルから友人が来日し「関西に行きたい」というので、大阪・京都の観光名所を駆け足で案内してきました。
数十年ぶりに見る金閣寺はとても神々しく、威厳があって、京都は世界に誇れる観光地であることを再確認しました。
◇◇
一方で、観光客が多すぎる「オーバーツーリズム」も初めて体験しました。
金閣寺に行くときに路線バスを使ったのですが、行きも帰りも、バスは、通勤ラッシュ並みの混雑度。
休日の朝のせいか、道はそれほど渋滞していなかったものの、
途中のバス停で待っていたお年寄りの多くが乗るのを諦めてしまう光景を目にして、なんだかとても申し訳ない気持ちになりました。
それは外国人である友人も感じていたようです。
1月という閑散期でありながら、これだけ外国人観光客が多いのですから、11月の紅葉シーズンは、想像を絶する混雑ぶりなのでしょう。
「バス料金を倍にして観光地周遊の特急バスを走らせれば、市民の足である路線バスを使わずにすむのに…」
などと、寿司詰め状態のバスに揺られながら悶々としてしまいました。
さすがにその後の移動はタクシーを利用しましたが、午後からは道が混んでしまってなかなか進まず、料金メーターの動きが気になって、また悶々…。
これがウワサの「オーバーツーリズム」なのか…。
平成30年の京都観光総合調査によると、京都市の観光消費額は3年連続で1兆円を突破し過去最高。
外国人消費額は3,725億円で、観光消費額に占める外国人消費額の割合は28.5%。
外国人消費額単価は日本人消費額単価の2.2倍にもなるそうです。
京都がここまで賑わっているのは、経済界にとってはありがたいことなのでしょうが、
京都市内で暮らす人たちはこの賑わいを内心どう思っているのでしょうか。
市民が移動手段を奪われ、生活に不自由を感じるようでは、経済が潤っても不満は募るだけのような気がします。
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そんなことを思いながら、無事に旅行を終え、友人は気持ちよくブラジルに帰国した途端に、新型コロナウイルス騒動です。
日本の主要な観光地は、今月は外国人観光客が激減し、土産物店やホテルも売り上げが落ちていることでしょう。
地方の活性化のために外国人観光客を呼び込むことも、もちろん大事なことではありますが、
観光だけに頼るのはリスクが大きいことを、今回のコロナ騒動で身に染みた方も多いのでは?
市民が安心して生活ができ、観光客も申し訳なく思わずに観光ができるような街づくりが、今、求められているのではないでしょうか。
参考:京都観光総合調査