ぞわぞわする場所
沖縄県
ライター
沖縄あれこれ
仲濱淳氏
普通の住宅街の中に、いきなりあるからびっくりする。それが私がソワソワする場所、沖縄の拝所が。「うがんじゅ」と呼ばれるここは、神様を祀って拝む場所のことだ。
ある日、閑静な住宅街の中にある広々とした公園を散歩していた。しかしここ、公園と名がついていながら、遊具らしきものは見当たらない。公園全体が小高い山のようになっていて、頂上付近には何やら広場のような芝生。そこには、石積みや祠のようなものが点在していた。そう、どうやらここは、拝所のようだ。
この広場の傍らには鬱蒼と草木が茂る森があって、その入口には「一礼してお入りください」と書かれた看板があった。もっと奥へと進むと、さらに何かがあると思われる。しかし私は、この辺になんとなく流れているようなぞわぞわする空気が怖くて、それ以上進まなかった。
沖縄に住んでいると、この得体の知れない「ぞわぞわ」という感覚に襲われる場所にたびたび出くわす。私は決して霊感みたいなものがあるタイプではない。そこが「斎場御嶽」のように有名なわけでもない。でも、なんとなく厳かで、静かで、声を出すことさえ憚られるような場所。世間ではこんなところを「パワースポット」と呼ぶのかもしれない。首里城の敷地の一角にも、やはりそんなことを感じる場所がある。そして、沖縄の歴史の重みのようなものを、まさに肌で感じるのだ。
プロフィール
ライター
仲濱淳氏
雑誌・WEBマガジン編集職を経て、3年前よりフリーランスライターとして沖縄県で活動中