泣く子も黙るバウハウス
東京
編集ライター
海外暮らしと帰国してから
Joshy氏
最近ミニマリストが流行りのようです。
ミニマリストといえばやはり、先駆者ともいうべきバウハウスですよね。
バウハウスは1920年代にドイツで起こった、美術・写真・デザイン・建築などの分野におけ芸術運動であり、デッサウ市などに教育機関(学校)もありました。
建築家ミース・ファン・デア・ローエの理念「Less is more」に代表される合理主義、機能主義がバウハウスの特徴です。
当時のヨーロッパの住宅は、アール・デコなどの装飾が当たり前だった時代で、無駄をそぎ落としたバウハウスの無の空間は人々に衝撃を与えました。
それがいかに画期的なことだったか。バウハウス・デッサウ校のディレクターに話を伺ってびっくりしました。
「悪い子はバウハウスに連れていくよ!」
これは当時のデッサウで、親がいたずらをした子供によく使う常套句だったそうです。
つまりバウハウスは、前衛的すぎるあまり一般住民にはまったく理解されず、周囲の住民から「なにやら恐ろしいことがあそこでは行われている」と噂される、きちがい集団のような存在だったというのです。
ミニマリストもあんぐりのエピソードですが、「既成概念を覆す革新的な考えは人々の反感を得る」というのは今も全く変わっていないと思いませんか?
個人的には、ミニマリストというよりも、バウハウスの機能主義的考え方が好きです。システムキッチンを生み出したのもドイツ人だと言われていますが、狭い空間をいかに合理的に利用するかということに快感のようなものを覚えてしまいます。
必然的にドイツにいた頃は、天井高の広くて優雅な前世紀の住宅ではなく、団地のような機能的な間取りの部屋に住んでいました。これは東京に戻った今もまったく変わっていませんね(笑)
プロフィール
編集ライター
Joshy氏
ヨーロッパに20年滞在し、日本のメディアに情報を発信。海外生活で経験したこと、帰国してから感じたことを綴っていきます。