メディカルハーブとの出会い
20代後半、平日はときに徹夜も繰り返す編集の仕事に邁進し、
週末は遠方の家族の介護という日々を、根性だけで乗り切っていた。
そんな中、いつしか、常に体調不良を感じるように。
ひどい不眠、重すぎる身体、不整脈、定期的なめまい。
温めても冷やしても目の奥はじんじん痛むし、湿布を貼っても腰痛と腱鞘炎はおさまらない。
常に身体のどこかが痛む状態がデフォルトになり、痛みがないと違和感すら感じるように。
悩みつつも手を打たずにいたある日、とうとう移動中の新幹線で倒れた。
これをきっかけに「健康」の大切さが身にしみた。
家族の病気を目の当たりし、いかに「未病」段階でのケアが大切だったか、後悔していたこともある。
しかし、周囲を見渡すと、お世話になっている著者や先輩編集者、気の合うライターさんや頼りにしているデザイナーさんなど、なぜか揃いも揃って夜型・酒飲み・タフな人ばかり。その生活も「健康」には程通そうだった。
なんとなく、「健康のために何かしてます?」などとは聞けず、一人、ひっそりといろいろな健康法を調べ、試していた。
中でも強く惹かれたのは、自然療法や植物療法の考え方だった。
自然療法とはざっくり言うと、身体が本来持っている「自然治癒力」をきちんと発揮できるよう、身体を整えていくこと。
また植物療法とは名の通り、薬用植物の力を借りてその自然治癒力を引き出すサポートをすることで、自然療法の一つだ。
考え方の根幹にあるのは、人間を、肉体・精神はもちろん、スピリチュアルな視点からもとらえて、ホリスティック(全体的)にケアするということ。
食事療法、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、アロマテラピーなどさまざまなアプローチ方法がある。
そんな中、私が最も興味を持ったのが「メディカルハーブ(薬用植物)」だった。
それまで、カフェでたまにハーブティーを飲むくらいで、料理に使ったり栽培したりした経験もなかったくせに、「メディカルな分野でのハーブの使い方」には、ピンときた。
きっかけは、西洋・近代医学における医薬品のうちの少なくとも半分以上が、メディカルハーブがもとになって作られていると知ったこと。
体調を崩すとすぐに薬に頼りがちだった私は、「だったら普段からハーブティーとか飲んだらいいんじゃないの?」と思った(単純)。
漢方も気になったが、漢方は医薬品として材料に動物や鉱物も使用するのに対し、ハーブはほぼ植物のみを使用する。なんとなく、漢方は敷居が高かった。
その後、家族の介護がひと段落してから、休みを利用してスクールに通い始めた。
せっかくなので仕事にも生かしたいと思い、資格取得ができるコースを選んだ。
いずれはハーブの知識をもとに、健康や美容に役立つコンテンツを作ったり、家族はもちろん、周囲のワーカーホリックな人たちの体調管理にも貢献できたら……と夢は広がった。
このあと、資格取得まで意外と険しい道が待っているとも知らず……。
そんなわけで、私の適当ながら熱いメディカルハーブライフが始まった。
(続く)