プロダクト2019.05.09

タテ・コヨに交差する糸の魔法…自分だけの作品も作れる!

大阪
コピーライター、セミナー講師
くすぐる大人の好奇心❤
松井 貴代

日々、デジタル化が加速する中、真逆の現象も起きています。例えば、ここ数年のハンドメイドブームもそのひとつ。手芸やクラフト好きの人なら、誰もが作家になり、自分の作品を販売できるインターネットサイトがハンドメイドファンを応援し、拡大させました。

 私は、不器用なのでハンドメイドとは、無縁なのですが(笑)…先日、とても美しい機織りの工房に、偶然立ち寄り、ついつい糸の美しさに見惚れてしまったのです。

 織物は衣服を作る基本であり、布地はすべて、元は1本の糸。糸が紡がれることで一枚の布になります。まるで美しい魔法のようです。イスラム圏やヨーロッパで織物の技術が発達し、産業革命で大量生産が可能になるまでは、機織り機で人の手によって、布地を織ることで作ってきたのです。機織りの基本的な仕組みは、経糸(たていと)を張り、その間に緯糸(よこいと)を通します。糸の太さや素材によって、風合いが異なるのが持ち味。織り方に工夫を凝らすことで独創的な絵柄や色彩の濃淡を美しく表現します。

 代表的な織り方は、平織り、綾織り、繻子織りの3種類だと言われています。衣服だけでなく、寝具や室内を装飾するインテリア用品など、様々なものに、布地はなくてはならないものです。中東のペルシャ絨毯は有名ですね。北欧には、古くはバイキング時代からの織物の歴史があり、アジアでも各地で地域特有の織物を伝承してきました。中国では、紀元前3000年頃より高度な絹織物の技術が発達。その技術が周辺のアジア諸国にも影響を与えています。地域よっては、機織りは、女性の仕事として発達してきた歴史もあります。布地の歴史を知ることは、地域の文化を知ることにもなります。

 今では、布地のほとんどがオートメーションで作られていますが、昔の織り方の手法を貫いているブランドやアイテムもあります。そして、一部のこだわり派の人たちは、趣味で「マイ機織り機」を使い、自分の思いやセンスを生かしたコースターやタペストリーなどをオリジナルで作っています。自宅で使える小さな機織り機があるというのには、驚きですね。興味のある方は、機織りの体験教室もあるようなので、参加してみてはいかがでしょうか。糸が紡がれる不思議な世界に夢中になりそうですね。

プロフィール
コピーライター、セミナー講師
松井 貴代
京都精華大学大学院人文学研究科修士課程修了。雑誌広告、情報誌、カタログ、Webサィトなど多数の仕事に携わり、ファッション、美容を中心に、女性のライフスタイルや多様性を提案する広告制作を行っています。フリーランスのコピーライター、またコピーライティングをレクチャーするセミナー講師として活動中。

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