緊急重版! 反響、続々!作家・伊坂幸太郎が『クジラアタマの王様』で試みた、読者を楽しませる二重三重の“仕掛け”とは?
2019年7月、芥川賞・直木賞の発表、および人気作家たちの刊行ラッシュで、書店の文芸コーナーが沸き立つ中、数々の書店でランキング1位を取得している伊坂幸太郎さんの最新書き下ろし長篇小説『クジラアタマの王様』。発売後、SNSや読書サイト上では絶賛の声が多く寄せられ、その反響を受けてたちまち重版が決まりました。いったい何が読者の心をつかんでいるのか? 伊坂幸太郎さんが本作に巧妙に張り巡らせたいくつもの“仕掛け”について、実際の感想をご紹介しつつ改めてレビューします。
※ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください。
■小説における新しい表現方法の提案
「文章と少しの漫画との融合であり、新しさを感じた。 最初は漫画と文章との乖離があり、よくわからない状況が続いていたが、読み進める内に意味がわかるというのも面白い! 迫り来るものに対してどんな展開になるの?どう解決するの?ってドキドキ感、ワクワク感も良い!」(もなか)
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「伊坂さんは、いつも新しいものを読ませてくれる。新たな小説の可能性を感じました。ページを開くと、いきなり漫画があり、新手法に拘り過ぎてはいないかと?心配になりながら読み進めていくと、あっと驚く仕掛けがある。読後感は何とも爽快!未来に希望が持てない人に力をくれます!製薬会社の広報担当の岸、人気アイドル・小沢、そして本作のキーマンである県会議員・池野内。この3人が出会ってから奇妙な物語がはじまる。次々と出会う事件に翻弄され、虚構と現実の境目が分からなくなってくる。人生は戦いの連続。決断する勇気が沸いてくる一冊。」(タカユキ) ――以上「読書メーター」より
本作は、伊坂さんが10年近く前から試みてみたかったという“ある仕掛け”が盛り込まれています。その斬新な工夫方法に絶賛の声が上がっているのですが、その仕掛けとは「絵を効果的に使う」こと。ひとつの世界では製菓会社の社員が見舞われる現実的なトラブルを小説で描き、もうひとつの世界では巨獣たちと戦う戦士たちの活劇を幻想的な雰囲気の絵で描いています。
絵は日本的な漫画とも、いわゆる挿絵とも異なった体裁で、小説の中のピースとして補完しながら、絵もまた独立したストーリーが進んでいく構造です。これにより、読者はまるでふたつのストーリーを追うかのように、目まぐるしくそれぞれが展開するのです。
絵の内容や構成は伊坂さんが考え、それをイラストレーターの川口澄子さんが絵として立体化。一切の言葉や効果音のない静かなトーンの中、不穏に傾いていく“異界”の様子は、読者に自由な想像を駆り立て、ふだん小説に馴染みのない方でもすうっと読み心地よく世界観に入れます。
■物語のカギを握る「動かない鳥」
「やっぱり面白かったです!現実と夢の世界、文章とイラストが見事にリンクしあって 読んでて楽しかったです(^-^) 終盤の疾走感もさすが。これからハシビロコウを見ることがあれば凝視してしまいそうです笑」(よっちっち) ――「読書メーター」より
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「動物園で見た、あの動かない奇妙な鳥。何かあると思ってたんだよね……。あー楽しかったーーい!」(新井見枝香/HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE)
上の感想にもあるように、“もうひとつの世界”で重要な役割を果たしているのが、実在の鳥・ハシビロコウ。「動かない鳥」として知られ、謎めいた雰囲気のハシビロコウ。大きなくちばしとつぶらな瞳でファンが急増中のこの鳥が、果たしてどのように伊坂作品に登場するのか……。
ここではカリスマ書店員として知られる新井見枝香さんの感想をヒントに、詳細は実際に読んでいただいてのお楽しみですが、ハシビロコウを魅力たっぷりに描いた伊坂さんがこの鳥を登場させた経緯について、「ハシビロコウの持つ洋風とも和風ともとれる雰囲気が、この世界をナビゲートするのにぴったりだと思って」と言っているとおり、ただ者ならぬ役割を担います。
きっとあなたも、本書を読んだ後はハシビロコウを見に行きたくなること請け合いです!
■伊坂作品史上初の、現実社会を徹底して描いたエンタメ小説
「『斬新!』本を開いた瞬間からワクワク感でゾワァーーとした。 こんな形で一作の小説を描く事が可能で、それがとびっきりのエンターテイメントを見せてくれた。 伊坂幸太郎の言葉に、川口澄子さんのイラストは抱き合っているようだった。」(みかん) ――「読書メーター」より
かたや小説パートは、現実の社会を鋭くとらえたエンターテインメント。今回は、死神も殺し屋も反社会的勢力も登場しません。これは伊坂作品としては珍しいケースで、ストーリーづくりにも、伊坂さんの苦労と工夫がちりばめられています。
異物混入事件、謝罪会見、停電、錯綜する情報、過熱報道、パンデミック……。誰もが「こうなったら嫌だな」「こんな世の中になったら怖いな」といった不安を、伊坂さんがフィクションとして切り取り、何の変哲もない一般人である主人公がそれらの危機に立ち向かっていきます。巻き起こる出来事が誰にでも起こりうるものだからこそ、読み手は共感し、深くストーリーに没入できるのです。
小説と絵、このふたつのアプローチがどのようにしてひとつのストーリーとして収斂していくのか? そこは伊坂幸太郎さん、これでもかと工夫を凝らし、鮮やかに回収される伏線とラストに向かってどんどん加速していく展開は、まさに伊坂作品の真骨頂。読後感の心地よさは「爽快」のひと言に尽きます。
伊坂ファンも、伊坂作品初心者の皆さんも、ぜひ手に取ってこの新たな読書体験を楽しんでみてください!
■商品情報
出版社:NHK出版
発売日:2019年7月9日
定価:1,500円(本体1,620円)
判型:四六判
ページ数:384ページ
ISBN:978-4-14-005706-3
※ 伊坂幸太郎さんのインタビューなどが読める特設サイトはこちら
URL:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817782019.html
※本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。
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