2020アメリカ大統領選で考えた

東京
編集&ライター
juzoo
じゅーぞー

 2020年のアメリカ大統領選は、ひとまず終わりましたね。トランプ陣営はまだ敗北を認めず、あくまでも法廷闘争で争っていくつもりのようですが、現時点における暫定の選挙人獲得数はジョー・バイデン前副大統領が〈290〉、トランプ大統領が〈232〉。バイデン前副大統領の選挙人の獲得数は、過半数の〈270〉を超え、次期大統領に当選したことがほぼ「確実」といわれています。  しかし、この結果がでてもあくまでもドナルド・トランプは強気で、「不正が行われなければ、私が楽勝だった!」などと主張しています。しかしその差は明らかで〈58〉もあり、結果が見送られているジョージア州の〈16〉を加えると〈74〉の差になって、とても逆転は無理な状勢となっています。  序盤では「僅差」とか「デッドヒート」とか騒がれていましたが、今では「潔くない」「見苦しい」「いい加減、ゴネるのは止めろ」などと、ドナルド・トランプを批判する声が強まっています。  お馴染みのおでん屋「●ちゃん」のメッセージ黒板にも、さっそく洒落を絡ませて次のような文言が書き込まれていました。久しぶりのスマッシュヒットです。(写真) 「僅差ちゃいまんねん。バイデンねん。」  連日、テレビのワイドショーやニュース番組で大騒ぎをしていましたから、アメリカの大統領選挙の特殊な仕組みについて、詳しくなった人も多いことでしょう。テレビ出演した専門家が「古い時代に決められた制度ですから、文明が発達した現代にそぐわなくなっている部分も多いのですが」と言っていたように、とても世界をリードする先進国アメリカとは思えない古臭さを感じます。中でも我々日本人にとって違和感を感じるのは「選挙人」の存在でしょう。  アメリカの大統領選において、この「選挙人制度」が定められたのは1787年の9月17日だそうです。233年前のこの年は、日本では天明7年。江戸時代の後期で、徳川家斉が11代将軍に就任し、松平定信が「寛政の改革」に着手した年なのです。この66年後の1853(嘉永6)年には、ペリー提督が黒船を率いて浦賀に来航し、日本は天地がひっくり返るような大騒動となるのです。  「直接選挙」といわれるアメリカ大統領選をある意味「間接」にしている「選挙人」はなぜ必要とされたのでしょうか? 国土の広大さ、各州が独立した合衆国であることなど、さまざまな要因があったそうですが、一番大きかったのは国民の「識字率」の低さだったようです。つまり233年前のアメリカ国民のほとんどの人が字が読めなかったのです。江戸時代、日本では寺子屋制度が発展し、多くの人が読み書きをすることができました。特に江戸は人口も世界最高の100万人都市で、「識字率」も世界一だったといわれています。そんな日本が「識字率」の低いアメリカの軍艦が来航しただけで、国がひっくり返ったのです。今も昔も優劣をつけるのは「文化力」ではなく「軍事力」ということなのでしょうか。

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