八畳の和室から茶の世界を得る。極みの中のセラピー映画「日日是好日」

Vol.6
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satoko
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エッセイスト森下典子の『日日是好日ーお茶が教えてくれた15の幸せ』を原作とした作品。著者自身が ”一生を賭けられる何かをみつけたい”と願い茶道教室に通った25年を気づきを通して自分の居場所を模索して成長していく話。自伝的な内容となっている。

 

あらすじ

二十歳の女子大生の典子(黒木華)と従姉妹の美智子(多部美華子)は《本当にやりたい何か》を探していた。そんな中、母親がタダモノでは無いと噂する武田のおばさん(樹木希林)と言う人物が実は茶道の先生で茶道教室を開いているからそこへ通ったらどうか。と勧められる。乗り気で無い典子だったが、従姉妹の美智子が乗り気になった為、誘われるまま流されるまま茶道教室に通い始める。しかしそこは、一杯のお茶を飲むだけなのに理解できない決まり事、いわゆるお作法だらけの不思議な世界があった。

感想

襖の開け方、お辞儀の仕方、畳を歩く歩数、道具の拭き方、お菓子を頂く順序。全ての作業に決まり事がある世界。「何故?何か意味があるの?茶道って可笑しい。」その工程一つ一つに意味や理由を問いかけ戸惑う二人に武田先生は、「何でも頭で考えてしまうからそう思うのね。お茶はまず形から、そこでできた入れ物に後から心を入れる事。」と諭される。すぐには答えが出ない言葉以上の何か。それは時間をかけて感じる事でしか味わえないもの。何かに焦る必要はなく、無理矢理何かを経験する必要もない。一つのものと丁寧にゆっくりと向き合うことで得られる経験や感動が必ずある。と言う事を教えてくれます。

 

人生で起きることはいつも突然

昔も今も
心の準備なんかできない
あとは時間をかけてその悲しみに慣れていくしかない
 
と言う典子のセリフ
 

季節がある様に、人が生きる道にも季節がある。愛する人の死や別れ。辛い事や楽しい事、全てをゆっくりと受けいれていくあるがままに受け入れていく事それが人生。しかし、辛い事にだけに目を向けるのでは無く、穏やかに流れる季節の美しさや雨の音。雨音一つとっても季節によって違う事、お湯は「とろとろ」水は「きらきら」、流れる水音の違いに気づけた事、今見ている世界が奇跡と言う事もお茶の世界は気づかせてくれます。映画のタイトル「日日是好日」は毎日が良い日、今日と言う日はもう二度と来ないのだから、目一杯味わい尽くそうと言う意味。この言葉を通して、今自分が生きられている事、感じられている事の豊かさをもう一度考えてみるのも良いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

プロフィール
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茶の道をたしなむアラフォーモデルsatoko。 美しい日常に敏感な為、超感覚的知覚が常に刺激され振り回される日々。猫・茶・アート・ファミリー&個性爆発な友人達に支えられ生きている

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