映画『「アララト」誰でもない恋人たちの風景vol.3』レビュー
越川道夫監督最新作
すれ違い、惹かれあう男女を描く越川道夫監督による「誰でもない恋人たちの風景」最新作。
『アレノ』で監督デビュー以降、男女の情愛を描き続けてきた越川道夫。
2019年公開の『愛の小さな歴史』、2020年公開の『あざみさんのこと』からなる「誰でもない恋人たちの風景」シリーズを、時にすれ違い、時に惹かれあう恋人たちを優しい目線で描いてきた。
同シリーズの最新作“vol.3”となる本作では、交錯する夫婦の願いや実情を美しくも儚げに映し出す。
ストーリー
サキは画家のスギちゃんの妻。
スギちゃんは数年前に倒れて左半身が動かなくなり、すっかり絵を描かなくなってしまっていた。
深夜のファミレスで働き生活を支えるサキは、彼にまた絵を描いてほしいと思っていた。
道端の石ころや草花ばかり描いてたスギちゃん。
そんな彼がサキのヌードを描きたいと言った時、サキは本当に嬉しかったのだ。
「スギちゃんが描くと石とか草とか こんなにキレイだったのかって思うんだよね、だからさ、スギちゃんが描いてくれた自分の裸を見たとき、初めてわたしの体が愛おしいものだって思えたんだ。また、わたしの絵を描いてくれるなら脱いでもいいよ。」
しかし、スギちゃんは、サキに依存しなければ生きられない自分に苛立ちを感じていた。
すれ違う身体と心。
愛し合うことさえままならず、ふたりの間に大きな亀裂が生まれた日、サキはファミレスの同僚ユキオと結ばれる。
そして、スギちゃんはサキと別れる事を決意するのだった。
まとめ
自分の夫が倒れた時に私から世話をされるのに彼は耐えられるだろうか。
自分が夫に求めてたものが失われた時、今まで通り彼を愛せるだろうか。
「愛されるだけじゃ無くて、愛したいんだよ!」
何でも受け止めてくれる妻の優しさに、何一つ応えられない自分に耐えられなくて別れを告げる夫。
痛いくらい愛しあっているのがお互いわかるのに、一緒にいる事が辛く悲しくなってきた時、どうする事が正しい答えなんだろう。
そんな事を思いつつ夫婦とは。男と女とは。
共に居る事とは何だろうと考えさせられる内容。
そしてとても愛おしい時間が流れている映画でした。
5月15日(土)より K’s cinemaにて 2週間限定ロードショー
名古屋シネマスコーレにて5月22日(土)より公開
大阪シアターセブンにて上映決定!
行平あい佳 荻田忠利 春風亭㐂いち 後藤ユウミ 鈴木博文 鈴木晋介
脚本・監督:越川道夫
製作:村上潔
プロデューサー:山口幸彦
音楽:宇波拓
撮影監督:武井俊幸
音響:近藤崇生 編集:菊井貴繁 メイク:杉本あゆみ フード担当:麻帆
カラーグレーディング:織山臨太郎 監督助手:内田周作 演出部応援:張元香織 劇中絵画:安永元典
製作:キングレコード株式会社 制作:スローラーナー 配給:キングレコード株式会社
2021年/120分/日本/カラー1/1:1.85/5.1ch/DCP
©2021キングレコード
公式サイト:ararato-movie.com
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