「手巻きたばこ」はじめました……その1
スモーカーが少数派となり、かなり肩身の狭い思いをしている今日この頃ですが、あえて聞きます。みなさん、美味しいたばこ吸っていますか?
僕のスモーカー歴は、はや半世紀。最初に吸ったのは高校2年生の時で、放課後、地元で「裏●●」と呼ばれていた怪しい風俗街の一隅にある喫茶店でした。よくある話ですがマスターも、高校の制服を着てたばこを吸ってイキがっている若造たちがいても何にも言わず……こんな店、どこの地方でも一つや二つはあったと思います。昭和には。
それから上京して大学に行き、出版の仕事に就いて……ずっとたばこ吸っています。30歳を前にして一度禁煙したのですが、そんな時僕に回ってきたのは、たばこ愛好家の有名人にインタビューをする仕事でした。のべ20人ほどに「たばこ愛」をうかがい、たばこをふかしているカッコイイ写真を撮らせてもらい、でも僕はたばこを手にすることなく仕事をこなしていました。大抵の人はたばこをふかしながら話をしてくれたのですが……。
その方はテレビの大物司会者でした。インタビュー取材がひと段落した時、おもむろに「あれっ? 君は吸わないの?」そう質問して来たのです。禁煙中の僕は「えっ!?」と思いましたが、まさか「今、やめているところです。禁煙中です。だって健康に悪いですから」とも言えず、「今日は忘れてしまって……」そう言い訳しました。するとその大物司会者さんは、「じゃあ、ボクの吸いなよ」そう言って自分のたばこを差し出したのです。
万事休す。僕は断ることもできず、半年続いていた禁煙を破ることになりました。1本吸ってしまえば、元の木阿弥です。それからウン十年。禁煙にトライすることもなくなりました。そのインタビュー関連の仕事で葉巻の取材にキューバにも行かせてもらい、ヘビースモーカーの日々が今日まで続いています。(Part2へつづく)