シナリオまでの道
私は小学生の頃、『漫画』をよく描いていました。
自由帳を買ってはギャグや4コマ、ファンタジーや恋愛ものなど、たくさんのジャンルを描き殴っていました。
しかし、手や身体や横顔や背景やコマ割りなどなど苦手なものがたくさんあり過ぎて、早い段階でプロになるのは無理だと悟っていたように思います。
そんな私が次に手を出したものは『小説』です。
これなら絵が下手くそでも誤魔化せる……!と思った部分も少なからずあったのかもしれません。
しかしここでも、苦手なものに出くわします。
それが”情景描写”です。
小説を読む度に、文字だけで、場面場面の説明を退屈させずに美しく、かつ端的に想像させられる文章をスラスラと書ける作家さんは、私の手には届かないところにいる存在だ……とヒシヒシ感じておりました。
やがて、私は『シナリオ』というものの存在を知ります。
シナリオとは、主にドラマや映画に欠かせない台本や脚本のことを指します。
“いつ、どこで、誰が“を簡単に明記する文章さえ作ることができば、あとはキャラクターを喋らせればいいだけ……!
これなら絵が下手くそでも情景描写のセンスがなくても成立するかもしれない……!
そう思ってしまったのです。
例えば、クリスマスに何故か男子2人がファミレスでご飯を食べている設定を考えてみます。
それを無理矢理シナリオにしてみます。
○ファミリーレストラン・内(夜)
家族連れやカップルで賑わう店内で、向き合ってテーブル席に座る男子Aと男子B。
楽しげにメニューを眺めるAを怪訝そうな顔で見つめるB。
A「いやークリスマス直前に彼女にフラれたイケメンに奢られながら過ごすクリスマスは気持ちがいいねー」
B「……クリスマス直前に俺をフった女にクリスマス当日こてんぱんにフラれ、そんな元彼に奢られるクリスマスを過ごしてるお前が今1番みじめだからな……」
……と、私の場合は先にセリフを重点的に考えてみることにより、自然とそのキャラクターやお互いの関係性が見えてくる瞬間が楽しかったりします。
漫画、小説、シナリオ。共通して私が好きだったのはもしや、セリフを考えることなのかもしれません。
皆さんは『創作』をするなら、何を生み出す時が1番楽しい瞬間になるのでしょうか。