一瞬の尊さ
仕方のないことではありますが、今月に予定していた幾つかの楽しみなライブの予定が全て中止や延期になってしまいました。
私は小学校高学年の頃には既に音楽が大好きで、特に中高時代はいろんなバンドにハマり、学校帰りに1人で制服を着たまま行くほどにライブという空間が大好きでした。
以前、美味しいもののためならお金や労力を厭わないという友人に「食べたら終わりだよなくなるよ」と疑問を投げかけたところ、「そっちだって音楽ならいつでも聴けるのにわざわざお金かけてライブ行くでしょ」と言い返されたことがありました。
「確かにそうだね」と、素直に返答した記憶です。
例えば、最近よく行われる“無観客ライブ“は、”無料”で観られることも多く最高なコンテンツだと思うのですが、どちらかを選べるのならば私はやはり、お金を払って現地で思いきり盛り上がりたいです。
また、ライブではないですが、わざわざ新幹線を使ってまで大好きな絵を描く漫画家さんの原画展へ行った時も、お金では計り知れないほどの感動で胸いっぱいになったことがあります。
あの時の友人もきっと、美味しくて常に満席なお店が家にいながら“出前“で頼めるようになるなら最高に手軽ですが、やはり並んででも店内の雰囲気に包まれて、出来立ての料理を美味しく食べたいと思っているはずです。
人それぞれに、誰かが生み出した自分の大好きなものと過ごす時間はそれこそなんでも一瞬で、でもその一瞬が何よりもずっと心待ちにしているものであり、長期の“生きがい“にさえ繋がるということが不思議で尊いなと改めて感じます。
音楽でも演劇でもアートでも、誰かにとってそんな一瞬を生み出してくれる素晴らしい表現者のみなさんの“作品“が、多くの人へ直接届けられる場所にまた戻ってきてくれることを心より願っています。