「やり直し」のない世界
6月最終日ですが、6月といえば、「ジューンブライド」ですね。
私は以前ブライダルヘアメイクの会社で事務の仕事をしていた経験があるのですが、実は6月に式を挙げるカップルはそれほど多くなく、繁忙期はというと、圧倒的に、過ごしやすい季節である春や秋でした。
ところで、ブライダルに特化した仕事を第一線の場でされている方々って、もの凄いプレッシャーだと思いませんか。
事務としてサポートをしていた当時から、現場で忙しく活躍されているヘアメイクさん、プランナーさん、アテンドさん、その他の皆さんにはとても感服していました。
結婚式という場は、「人生で1度しかないのだから必ず最高の日にしたい」とお客様の誰もが思うような、特別な場です。
だからこそ、その職務に深く携わることへの責任はかなり大きいです。
私の勤めていた会社では、ヘアメイクさんとご新婦様との間で挙式当日までに通常1度のみ、「ヘアメイクリハーサル」という場も設けられていました。
リハーサルがあると言えど、リハーサルたった1回で、ヘアスタイル、メイク、お色直しでのチェンジなどを全て、ご新婦様の好みや理想に沿いながら、納得されるまでしっかりと作り上げなければいけません。
そして、それを本番でも、僅かな時間の中で完璧に仕上げていく必要があります。
当日使う予定のない道具までも全て持参することから、パンパンの大きなバッグと引くだけでも重たいスーツケースで毎回会場入りをしている心配性な方、無事にご新婦様を送り出して1人になった瞬間、魂が抜けたようにぐったりとする方など、ヘアメイクさんご本人やスタッフさんから今までいろんな苦労エピソードを聞いてきました。
ふと思ったのですが、何かを「創作」する上で何度でもやり直しが利くものと一発勝負のものとでは、仕上がりにどのくらいの差が出てくるのでしょうか。
個人的な考えとしてはやはり、やり直せばやり直した分だけ良いものに更新していくことができるのではと感じます。
しかし、それらをいざ「本業」にした場合、やり直しが利かない一発勝負を課せられる瞬間はいつか必ず訪れるはずです。
短い時間で完璧なモノを作り上げる技量が、どこかで必ず求められます。
例えば書く仕事を目指しているのならば、「今書いているこの文章が、明日の誰かの命運を左右する」くらいの大袈裟な意識で取り組むことこそが、上達への近道なのかもしれません。
モチベーションがなかなか上がらない時は、ブライダル業界でお世話になったスタッフの皆さんの顔を思い出しながら、自らを奮い立たせていきたく存じます!