七夕と『サンガプ屋台』

東京
書道家・ライター
Thoku
桃空

彦星と織姫が会える日は一年に一度。それはまだ「頻繁」なほうなのかもしれない。

コロナで外出も少なくなって「習慣化」してしまったネットフリックスオリジナルドラマ。『愛の不時着』でヒョンビンが超人気俳優になったということですが、たしかに韓国ドラマの俳優さんたちはとても魅力的な人が多いように思います。連続もののドラマは日本も含めていくつか観ました。今回は『サンガプ屋台』の紹介です。

コロナ感染が世界で蔓延する少し前のこと『パラサイト 半地下の家族』という映画が公開したときにすぐに観に行きました。思えばその後、ポン・ジュノ監督がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し数々の素晴らしい評価を得たことから、韓国の映画界への熱い視線が再び集まりました。

その後、過去の韓国の映画をたくさん観ました。特に俳優ソン・ガンホの演技力に魅せられ、立て続けに出演作品を観ていました。一番のお気に入りは『タクシー運転手 約束は海を越えて』この映画は「光州事件」をテーマにした素晴らしい映画でした。(この映画の脚本を手がけたオム・ユナの初監督作『マルモイ』が公開予定で、コロナで遅れていましたが9日に日本でも公開するので楽しみです。)

ところで、ネットフリックスオリジナルの話に戻ります。『愛の不時着』はもちろんおもしろかったのですが、その後に見た『椿の花咲く頃』もテーマが豊富で、人間の個の抱える悲しさと人とのぬくもり、コミュニティや人間の距離の置き方など現代社会の悲哀を表したとてもいいドラマでした。『梨泰院クラス』は勝ち組と負け組の世界観が覆っていたので(もちろんドラマのつくりは上手でしたが)あまり好きではなかったのですが、主人公とその父の俳優がとても好演をしていました。

今回観たのは『サンガプ屋台』。これは輪廻転生をテーマに主要人物の相関と現世とあの世を行ったり来たりする舞台と、人間の業や徳を物語の中心に描き一話ずつ進んでいく見やすいものでした。「この続きが気になる」という観客の思いをじわじわと熟成していく感じです。「早くみたい」だけだと、ストーリーの展開だけが気になり、筋を追うだけになってしまいますが、このドラマは中心人物のキャラクターが500年という月日を超えてくるので下手をすると失敗しそうなところをうまく補強しています。現世の恨みを晴らしたい。そのときもしサンガプ屋台に行けたら、話を聞いてもらえたらと思います。このコンセプトはネット漫画が原作らしいですが、屋台という「折りたたみ式の店」は行き来できるドラえもんのポケットのように、それこそ自分のすぐそばにも存在しそう、だから良いのかと思いました。(⇒予告編

 わたしたちは心の拠り所を社会にもとめていますが、実際は「一人ひとり」の個の集まりです。自分に向き合う時間というものがどれくらい大切か、闘うのは社会より前に自分なのだということ。それが次の「転生」の世界に影響している、という戒めのような話ですが、主人公が「500年も生きていると人間は●●である、ということがわかってきた」という言葉にあるとおり、それくらい生きないとわからないこともあるのかもしれません。死んで後悔するより、今、自分の目の前の人、事、自分のほんとうの気持ち、そういったものを大切に思うことや育てることが大切なんだということが、クチの悪い『サンガプ屋台』の主人公が一貫して語っているというドラマでした。おもしろかった!

ちなみにこのドラマで「織姫」が「彦星」に会えたのは数百年の月日を超えて…。月の下のセリフがまた素敵でした。ぜひ観てみてください。

次は、何を観ようかなーぁ。

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「サンガプ屋台」の概観です!入りたい♫

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メインキャストのポスターらしいです。

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あるシーンの切り取り写真。ちょうど中盤頃のシーンですね、うひひ。

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