長野で思った「Aランク美品」なセカンドライフ
みなさん、第二の人生、考えたりしますか?
先日、ロケで長野県へ行ってきました。長野県長野市。千曲川のあたり。
路線バスで千曲川を渡る。
いいところでしたよ長野。
静かで、空が広くて、空気がおいしくて、あちらこちらに
果物の木が植わっていて、リンゴ、梨、栗、桃、いちじくがたわわに実っていて、
朝の10時にスズムシの鳴き声が聞こえる。
駅へ向かう女性の装いがみんなさりげなく上品で、駅前にも町はずれの農道にも
タバコの吸い殻やゴミが見当たらない。
蕎麦がおいしい。軽井沢もすぐ近いからパンもおいしい。
「人生の楽園」を毎週観ちゃってるお父さん達が移住したくなるわけだ。
長野といえば気になっていたことがありまして。
暇なときヤフオクやメルカリを眺めることがあるのですけれど、
商品のコンディションがとても良さそう、いわゆる「Aランク美品」だと
思ったとき、なかなかの割合で長野県の人が出品していたりするのです。
物持ちがいい。物をきれいに大切に使う人たちが多いのでしょうかね。
ここからは「鉄っちゃん」な話題に移行してまいります。
ロケが早めに終わったので、帰り道は地元信州のローカル線・長野電鉄に乗ることに。
長野電鉄とは、長野駅と湯田中駅の約33kmを結ぶ北信州のローカル線です。
地元の足としてはもちろん、湯田中・渋温泉郷や志賀高原、「小布施栗」で有名な
小布施などへの観光の足として、また外国人に人気の地獄谷野猿公苑(温泉に浸かる猿がいる)
へのアクセスとしても人気の路線です。
乗ったのは小布施から2つ隣の「須坂(すざか)」という駅。
階段を降りるとちょうど電車が止まっていました。鈍く光を反射する銀色の車体。
この日は日差しが強くて、天井では昔懐かしい扇風機が回っていました。
ヴィンテージメガネのよう。Aランク美品な銀色車体。
この銀色、見覚えがあるような。。。と揺られること25分、電車は終点の長野駅へ。
長野電鉄の車内アナウンスは「終点」とは言いません。
「次は終着駅~、終着駅~、長野です」
これも良い。まるで人生の終着駅。定年が近いお父さん達はきっと泣いてしまうわ。
で、電車を降りると、隣のホームに新宿駅でよく見たアレがいました。
関東以外の人、わかるかなぁ。左のシュッとした紅白の車体。
左が元・ロマンスカー。 Aランク美品! 右は。。。。
箱根旅行のシンボル。展望車両で新宿と箱根を結ぶ小田急電鉄の特急「ロマンスカー」です。
余談ですが特急とは名ばかりで、遅い。とてものんびりゆったりと走ります。
その遅さ、ゆったりさが温泉地へ向かう旅情にマッチして贅沢なのです。
それにしても新宿-箱根間のロマンスカーがどうして長野県にいるのか?
写真の車体は1987年に就役し、2012年に引退した4代目のロマンスカー。
引退後は長野電鉄へ譲渡され、11両だった長い編成をエクレアくらいの4両へと短くし、
新たに「特急ゆけむり」の名前を与えられて走っています。
いっぽう、先に「見覚えがある」と書いた右側の銀色の電車。
そういえばこっちはあれ、東急線? 東急田園都市線じゃないか?
ビンゴでした。元は1975年(昭和50年)に登場した東急電鉄・田園都市線の車両で、
営団地下鉄日比谷線にも乗り入れています。こちらも長野電鉄に譲渡されたとのこと。
そして長野県民の物持ちの良さは電車にも。外観、内装ともきれいに手入れされていました。
元・東急田園都市線の車内。 床もシートもAランク美品。
この「じっくり」「きちんと」大切にされている、大切にしている安堵感。いいですね。
ちなみにトップ画像のポスターに写っている左の車両は、元・成田エクスプレスだったりします。
現在の名前は「特急スノーモンキー」(雪の中で温泉に浸かるお猿さんに由来)。
みんな別々の土地を走っていて、第二の人生で仲間として幸せそう(そんな顔に見えた)に働いている電車たち。
人間にも同じような出会いが待っていたら未来はきっと楽しい。そう思った長野ロケでした。