漢(おとこ)の「江の島丼」攻略ガイド
江の島丼? なんですかそれ。
ゴールデンウィークを控えた4月後半の某日。プレゼンを終えたデザイナー氏と
“夏に食べたいもの”について喋っていたら、そう返されたのでした。
マイナーだもんね、江の島丼。
江の島丼とは何か? それは栄螺(さざえ)の身をスライスして玉葱と合わせ、めんつゆで
さっと煮上げて玉子でとじたもの。そう、ひとことで言うと親子丼のさざえ版です。
江の島の初夏の味というと有名なのが「生しらす丼」です。だれど私はだんぜん江の島丼。
海水浴シーズンとなるとこのあたりの海の家はどこも江の島丼(さざえ丼という名称の場合もアリ)を
出していて、海から上がったらお昼は醤油ラーメンにするか? それともさざえ丼かな? と
悩むのが子供の頃のお約束でした。
鵠沼海岸から望む江の島
今回は「江の島丼を楽しむ初夏のプチ旅行(一部道のりは男性向け)」をガイドしたいと思います。
江の島へのルートはご存じ江ノ電、そして小田急線があります。「江ノ電はもう乗ったし」という人に
おすすめしたいのが湘南モノレールです。
湘南モノレールはJR大船駅を起点に江の島までの全長6.6kmを結んでいて今年で開業50周年。
写真がわかりづらいんですけど珍しい吊り下げ式のモノレールで緑が茂った湘南の住宅街の空中を
ノスタルジックにゴトンゴトンと進みます。
湘南モノレール 江の島駅
終点の江の島駅から5分くらい歩くと、江の島へ渡る全長698メートル「湘南大橋」に着きます。
さて、その時、漢(おとこ)なら橋の下をよく確認してください。遠くまで潮が引いてますか? OK?
通常は「湘南大橋(弁天橋ともいう)」を利用します。でも新月や満月前後2日~3日間ほどの干潮時は
片瀬(鵠沼)海岸と江の島が陸続きになって砂浜を歩いて渡ることができるのです。
(注:気象庁のサイトで潮位を確認するのがベターです)
3年前の風景。6月で雨で寒かった。
潮が引いていたら、橋は渡らずその下の砂浜に降りましょう。
靴を脱いで素足が理想。歩こう歩こう私は元気。このへんから少しずつダイハードな展開になっていきます。
最初の難関が江の島への上陸です。
砂浜から江の島へ上がる階段とかそんな親切なものはありません。あるのは高い岸壁だけ。
取り乱してはいけません。漢(おとこ)なら「うむ」と知ったような顔をして岸壁の柵を念入りにチェックです。
なんということでしょう。誰かが結わえてくれたロープが目にとまります。迷わず掴んで勇ましく登りましょう(というか他は手はない)。
漢なら登れ
もちろん公園でくつろぐ家族から怪訝な目で見られたりします。でも気にしない気にしない。
さぁ江の島に(とてもリアルに!)上陸しました。
目の前には磯料理屋がおいしそうな看板を掲げています。でもゴールはまだ先です。
靴のひもを結び直したら看板にはわき目もふらず目抜き通りの坂道を奥へ奥へと進みます。
めざすは江の島の裏側。5分ほどで運動不足の人はまもなく膝が笑い始めるかもしれません。
けれど、ついでに神社を拝んだり、梅雨時には濡れたあじさいを眺めたり、情緒豊かでひっそりとした
江の島最深部ならではの澄んだ空気の気持ちよさは格別です。
江の島の奥はとても静か
歩き始めて10分か15分ほど。「魚見亭」という看板が見えてきました。ここがゴールです。
わざわざ歩き倒してやってきたのは超名店だから? 否。理由は崖の上から荒磯と太平洋を眺めつつ磯料理を
手頃な値段で楽しめるから。漫画版の「孤独のグルメ」で井之頭五郎ちゃんが訪れていたりもします。
ではいただきましょう。江の島丼、単品、税込990円也。
さざえ、玉葱、三つ葉少々、刻み海苔たっぷり。わりとつゆだく。おしんことお茶付き。
言い忘れました。ものすごく美味しいの? と訊かれたら「そういうことではない」と答えます。
いや美味しいですよもちろん、私は大好きです。さざえの身のこりこりとした食感と、たまに現れるオレンジ色の
さざえの卵のねっとりした味わいは貝類好きにはたまりません。
でも栄螺をとことん堪能するなら刺身がいいに決まっている。「映え」だってたいして無い。
なんでしょうかね、、、「ご賞味」という風に接する食べ物ではない良さがあるのです。
「これくらいしか無いんだけど」的にチャッチャと作った“間に合わせ感”みたいなものが江の島丼には
漂っていて(褒めてます)それが少しだけ地元民になった気分にしてくれる。それを含めて旨いのです。
足もとからの眺めは落ちたらヤバそうな火曜サスペンス劇場のロケにぴったりの崖と磯。
テーブルの上の星占いもウケを狙って置いたのではない本物の年季が感じられてなんだか和めます。
船越英一郎さんが出てきそうです
昭和のグルーヴが香ります
生しらす丼も今が旬でおいしいですが、江の島に行ったら江の島丼、ぜひ食べてみてくださいね。
[追記]
1. 江の島丼は単品のほか、かにの味噌汁付き 税込1,485円もあります。井之頭五郎ちゃんが頼んだのは
かにの味噌汁付きのほう。さすが食べ物に出し惜しみはしない人です。
下記「魚見亭 公式サイトより」
2. 島の裏側まで行くのはちょっと、という方は江の島の食堂でも普通に食べることができます。
写真は江の島に渡ってすぐのところにある食堂で食べた江の島丼。
[リンク]
湘南モノレール
https://www.shonan-monorail.co.jp
魚見亭
https://enoshima-uomitei.com/index.html
気象庁 藤沢市の潮位
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php?stn=D8