超軽量&安定のアウトドアチェア「ヘリノックス」。今期の新アイテムを原宿に訪ねる
10年前よりサイトを席巻
「ヘリノックス」のアウトドアチェア
10年ほど前からキャンプシーンで流行し始めたコンパクトタイプのチェア。
折りたためば小脇に抱えられるキャリーバッグで収まり、重さはバーベキューで焼き上げる肉塊よりも軽い。それでいて、開いて組み上げれば成人男性を確実に受け止めるアウトドアチェア。肌に吸い付くような自然かつ快適な座り心地。
その名は「ヘリノックス」
もとは韓国のアルミ製テントポールメーカーに由来するコンパクトなキャンプチェアだ。
韓国はもとより、世界で有数のシェアを誇るアルミ製テントポールメーカー「DAC」。創始者のジェイク・ラー氏は若き日に渡米して経営学修士を取得、帰国後は「世界一」になる目標を掲げて経営学の世界に飛び込み、1988年に同社を創業。シックでしなやか、機能美に優れ環境負荷への対策にも配慮した同社製品のテントポールは韓国国内はもとより海外でも抜群のシェアを誇り、国内外で1000種類もの製品を供給していたという。
だがテントポールは表には出ない。いわば「縁の下の力持ち」の立場…ジェイク・ラー氏はその立場に甘んじなかった。
そしてラー氏の子息であるヨン・ラー氏は別の所で悩んでいた。
その葛藤の末に生まれたキャンプチェア・ヘリノックス。
そもそもブランド名「Helinox」とは何だろうか。
英語辞典にも、世界のどの言語の辞典にも載っていない言葉。「Helinox」とは二つの言葉を組み合わせた造語である。
ギリシャ神話に登場する太陽の神「Helios」(ヘリオス)
そして夜の女神である「Nox」(ノクス)。
二神を合わせてHelinox。
昼にくつろぎ、夜に休息。
そのコンセプトの下で設計されたヘリノックス最初のモデル「Chair One」
アルミポール製造で培った軽量性、携帯性、利便性、その三拍子が揃ったチェアを創り出すべく100以上ものサンプルを作成、テストと補強を繰り返した製品は、あたかも「吸い付く」ような坐り心地。いまやキャンプシーン全般のシェアを誇る。
2023年、都内は原宿に開店
海外初のフラッグシップショップ
去る2023年は、「ヘリノックス日本進出10周年」だった。
10周年を記念して同年5月、都内渋谷区の神宮前にフラッグシップショップ・HCC Tokyoが開店した。黒の構造材が織りなすリズムと縦長のガラス戸が目にも涼やかな外観。同年8月に筆者は別件で同店舗を取材させていただいた。
その折の記事が載る本は、こちら。
2階建ての店舗、1階はシックでインダストリア感ある内装に、前記の「Chair One」はじめ黒とブルーを基調としたアウトドアチェア。片や2階は広葉樹の内装による温かみある空間に、都会での室内使用を意図したポップな色遣いのファニチャー類。
あるいは「ヘリノックス」とカタカナでプリントされたカップにTシャツなど小物類。ちょうど「コロナ禍開け」という時勢も相まって、戻り始めた外国人観光客に大人気だという。
あれから2年、インバウンド下
2025年のキャンプシーンとは?
さて2年を経て今年、2025年3月。
同店舗を再度訪問させていただいた。
以前の取材でお世話になったスタッフの方が提示してくれたのは、「ヘリノックス Chair One」に続く新モデル「Chair One(re)」。
ヘリノックスチェアに「デザイン」「サイクル」「デュース」「ユース」「カバリー」これらのコンセプトに前置きの「re」を提唱して再構築されたシリーズ
従来製品以上に環境に配慮し、アルミの切片を再利用して作られたフレーム。従来製品と新たな「Chair One(re)」を並べて比べれば、新製品には明らかな「ゆとり」がある。
まずは両者を比べて撮影。左が従来製品、そして右が新製品
続いて座り比べれば…
その差は歴然。
新製品・Chair One(re)は従来の吸い付くような感覚に加えて「包み込まれるような安定感」がある。生地のカットを微妙に変えた座面に背面、足を延ばしても腿の裏が触れて違和感を覚えることもない。もちろん全体重量は1500gほどながら145㎏の重量に耐える強靭さはそのまま維持されている。
面白さは、コンパクトに折りたたんだチェアを収める収納バッグ。
ファスナーによる開け口を「コ」の字型に構成し直したことで、内容物を出しやすく収納しやすく、そしてバッグを吊り下げた折に「Helinox」の文字、そして昼がそのまま夜に交わる「皆既日食」を図案化した同モデルのロゴが正面にうつる構造と相成る。
工夫はChair One(re)のみには留まらない。
同社製品には、Chair Oneよりもいささか背面が「長い」モデルがある。
名付けて「Chair two」。
だがこの名称では、何が「2番目」なのかが分からない。
そこで形状を端的に示した「Chair One High Back」に名称変更し、製品そのものもデザイン改良した。「このように、新たな製品は『手の収まり』を良くしました。そしてその状態で、体をひねってみてください」
座面に腰を置いたままで体をひねる。こちらも、思わず口から洩れる感嘆符。
従来製品に比べて明らかに動きがスムーズ、なおかつ「コンパクトチェア」という不安定さがイメージされるところに腰を置いていながら、安定感はしっかり維持されている。
続いて2階へ
2階へ至るエントランスには大型スクリーン、映るのはヘリノックスチェアでアウトドアライフを楽しむ2匹の鹿のマスコット
水色が「Heil」
黒が「Nox」
2匹合わせてヘリノックス。
はじめに紹介した昼のヘリオス、夜のノクス
日常と非日常
昼と夜
すべての時を見守るヘリノックスの可愛いシンボル。
2階に上がれば雰囲気は一変
2年前そのままに広葉樹材のフローリング材でまとめられたフロア。
東からの光がさす一面に展示されるのは、アウトドアよりも室内使いを意図したファニチャーシリーズ、ヘリノックスの「デコ&ビーチシリーズ」。2年前の取材時はポップな色合いの品でまとめられていたが、今回は木目調を生かしたシックな色使いと流行も微妙に変化する。
傍らには全面展開できて敷き物にもなるヘリノックスのタクティカルバッグ。
全面を覆うバンドは、カトラリーなどアウトドア小物をそのまま装着できる機能性。
あるいはヘリノックスの母体であるアルミポールメーカー・DAC社が新たに立ち上げたキャンプテントブランドのJake Lah、1人用テントと今期2025年の品々。そして、コロナ禍で改めて見直された「アウトドアオフィス」構築用の、パソコンケースにテーブルを装着したコンパクトオフィス。
さらにはアウトドアグッズを持つキングにクイーン、ジャックのトランプ
アウトドアの、ヘリノックスの進化には限りがない。
4月に改めて公開されるChair One(re)、
その他今期のスタイリッシュなアウトドアグッズ&ファニチャーが一堂に会する原宿の「Helinox Creative Center Tokyo」
都内の魅力的スポットとして、ぜひおすすめしたい。
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6-13-3
電話番号: 03-6627-2589
営業時間:11:00〜19:00 ※不定休
