恣意性ってどういうこと? デザイナーが知っておきたい言語学のこと
WEBコンサルティング会社のWEBデザイナーをしているいずみさわなつみです。
もともとECサイトのWEBデザイナーをしていたので、サイトデザインはほとんどやったことがありません……日々、奮闘しています!
さてさて。クライアントさまからワイヤーフレームのOKをいただいたので、さっそくデザインカンプに取り掛かり、できたものをディレクターさんに見ていただいたところ…。
「ヘッダーの恣意性がよくないかな」と言われました。
恣意性……恣意性……恣意性。
日本語教師養成講座で日本語教師を目指していた頃、言語学における恣意性について先生から教わったことをぼんやりとですが覚えています。
思い出したいけど思い出せない……もどかしくなるのと同時に、デザインにおいての恣意性とはどういう意味なのだろう?と思ったわけです。
ということで、今回は恣意性について記憶をたどりながらまとめてみようと思います。
そもそも”恣意”とはどういう意味?
恣意性の”恣意”とは論理的ではなく、思うまま、思いつくまま、気ままにふるまうことを意味しています。
これだけだとぼんやりとしていますよね。
テレビではたまに「恣意的な判断といえるのではないでしょうか!」などと言っていることがありますが……。
これは論理性に欠けた自分よがりな判断をしているということなのです。
それじゃあ”恣意性”とはどういう意味?
本来、恣意性は言語学の用語なんです。
「言語が指し示しているものと、それを示している言語記号の間には、必然的な結びつきはないこと」という、近代言語学の父であるソシュールの言葉です。
言語学では「言語の恣意性」と言われていますね。
これだとわかりにくいので、当時の教科書を引っ張り出して、かいつまんでお話したいと思います。
どのテキストでもだいたい「イヌ」が取り上げられるのですが……。
例えば、イヌがいるとします。
言語が指し示しているもの(動物)とそれを示している言語記号(イヌ)の間には、必然的な結びつきはないということなんです。
恣意性がよくないデザインってどういうこと?
では、いずみさわの恣意性がイマイチなヘッダーとはどういったものだったのでしょうか?
趣向を凝らしたわけではない、ただただシンプル(わかりやすいといえばわかりやすいのですが)だったのですが、デザインに物足りなさがありました。
そう、それが恣意性だったのです。
もちろん、ユーザビリティは大切です。現在のサイトではUX/UIは欠かせません。
ですが、わかりやすさだけを意識してしまうと、デザインがおざなりになってしまうこともあるのです。
まとめ
最近では言語学だけでなく、ビジネスなどにも恣意性という言葉が使われるようですね。
わかりやすいのはもちろん、恣意性も良いデザインができるよう、精進していこうと思ったいずみさわでした。