「和太鼓サスケ」コンサート太鼓道2023 魂を打ち鳴らす迫力のステージ

金沢
ライター
いんぎらぁと 手仕事のまちから
しお

2023年8月6日、「和太鼓サスケ」の単独コンサートが石川県白山市で行われ、約700人が来場しました。

和太鼓サスケは2022年度の日本太鼓ジュニアコンクール石川県大会で最優秀賞を獲得し、全国大会では石川県芸術文化協会賞を受賞したチームです。

メンバーは小学1年生から高校3年生までの14名で、若い和太鼓奏者たちが日ごろの練習の成果をここぞとばかりに迫力満点に演奏するのが魅力です。昨年11月には「美ら島おきなわ文化祭2022 太鼓の祭典」、12月には「京都和太鼓フェスティバルin城陽」に出演するなど、石川県を拠点にしながら日本全国で演奏活動を行っています。

今回は大団円で終了したコンサートの後に、和太鼓サスケの奥村魅音さん、薮田栞奈さんにインタビューをしました。

奥村魅音(みとん)さん

-高校3年生。5歳で和太鼓に触れ、太鼓歴は今年で13年目。コンサートまで和太鼓サスケリーダーを務め、今回を区切りに後輩へバトンを渡す。金沢市最大の祭りである「金沢百万石まつり」では70年を超える歴史の中で初めて女性で大太鼓を演奏した。2023年6月の「世界和太鼓打ち比べコンテスト」では一人打ち女子の部最年少優勝。

薮田栞奈(かんな)さん

-高校3年生。小学5年生で和太鼓サスケに加入、太鼓歴7年目。奥村魅音さんとは幼なじみとして、切磋琢磨しながらチームを盛り上げてきた。三味線も操る和楽器バイリンガル。

コンサートは盛況でしたが、演奏し終わって感想はいかがですか?

太鼓を打ちながらお客さん一人一人、喜んでくれている表情が見られて、自分たちもとても楽しめました。今年でコンサートは3回目の実施ですが、ワークショップなども行いパワーアップしたイベントになったのではと思います。

今回は魅音さんと栞奈さんの2人でアレンジした曲「雨合い」を披露しましたが、苦労点やこだわった部分はありますか?

太鼓と三味線をコラボさせた曲を2人で考えて完成させました。また、そのあとに二人で1台ずつ大太鼓を打ちましたが、基本的に太鼓のソロはアドリブで、お互いの雰囲気に合わせて演奏しています。幼なじみとして付き合いが長いので、自分たちにしかできない表現ができました。

和太鼓サスケは高校卒業と共にメンバーも卒業するそうですが、高校3年生のお二人の今後の「太鼓道」はどのように展開していきますか?

魅音さん:和太鼓は高校やサスケを卒業しても、続けていこうと思っています。ソロやチームでの活動も視野に入れながら、自分の技能を今後も高めていけるよう励みたいです。

栞奈さん:私は漫画家になるのが夢なので、芸術系の学校へ進学を目指しています。一旦和太鼓は卒業しますが、いつかは戻って来られたらとも思います。和太鼓を題材にした作品も描けたらいいなぁ。

2部制で構成されたコンサートは、静寂の中姿を現した女子5人が締め太鼓を打ち鳴らす「たすき」で第一部が幕を開け、小刻みなリズムが会場の期待を最大級に高めていきました。

2曲目の「山鳴り」では9人のメンバーが4種類の太鼓を使った一糸乱れぬ演奏を披露し、竹製の長いバチで踊りながら打つ「Sore竹節」へと続くと、和太鼓サスケの持つパワーが花火のように爆発していきます。

今回のコンサートでは和太鼓サスケ初の試みとして、小学生を対象にワークショップも実施し、息をのむような演奏から一転、かわいい子どもたちがステージに登場しました。

練習時間は前日と当日の2時間だけという短さながら、子どもならではの吸収力でしっかりとした演奏を見せてくれました。もしかするとここから新たに、未来の和太鼓奏者が誕生していくのかもしれません。

新たに和太鼓サスケへ加入した小学1年生から中学1年生の新メンバー5人による「若竹」、男子メンバー3人が演奏する「波打ち」と続き、第一部は3台の大太鼓から力強く鳴り響かせる「NO・RO・SHI」で終了しました。

2部のスタートは、キツネの面を被った和太鼓サスケが厳かに楽器を操り、曲のタイトルとなっている「幻想」に誘います。

続く「山月」では団扇太鼓を打ちながら、息を合わせるのが難しそうな動きのある振り付けで魅せてくれました。

大太鼓を両面から叩く「流鏑馬」は身体の底から振動が響いて、魂までも打ち震わせます。

そして、魅音さんと栞奈さん2人による卒業曲「雨合い」。インタビューでは、タイトルの意味を雨と雨の間にかかる虹と、自分たち二人の友情の間に重ねたと話してくれました。

魅音さんが太鼓を響かせると、栞奈さんがそれに続くように三味線を鳴らし、また魅音さんがそれを追いかけるように合わせていきます。

幼なじみ二人にしか表現できない「太鼓道」は、お互いを高め合っていくような、寄り添っていくような素敵な絆でした。

長胴を横にして打つ高度な技を見せた「色鳥」に、最後は日本太鼓ジュニアコンクールでも披露した代表曲「信」を堂々叩き上げ、和太鼓サスケコンサートは幕を閉じました。

アンコールに答えて白山市に伝わる「虫送り」のリズムをベースにした曲で会場を明るく盛り上げたメンバーの晴れやかな表情に、たくさんの元気をもらった2時間でした。

伝統的な和太鼓を若い力で“響き継ぐ”和太鼓サスケを、これからも追いかけたいと思います。

和太鼓サスケ:Facebook/Instagram

写真提供:東幸人氏

横内 淳史氏(スタヂヲAY)

 

プロフィール
ライター
しお
ブランニュー古都。 ふるくてあたらしいが混在する金沢に生まれ育ち、最近ますますこの街が好きです。 タウン情報サイトの記者やインターネット回線系のまとめ記事などを執筆しながら見つけたもの、感じたことをレポートします。 てんとうむししゃ代表。

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