きのくにサイクルトレインの旅 ツーリングマップ片手に旅程をクリエイトする
少し前になるが、スポーツと旅行の秋。愛車:ロードバイクのタイヤに久々に空気を入れて、三連休を使って紀伊路を走ってみた。
木曜の夕方、仕事を切り上げて大阪駅から特急「くろしお」最終便に乗って5時間弱。深夜に三重県の手前の終着・新宮駅におりたつ。翌朝、ビジネスホテルの門前で輪行バッグ(自転車を分解して電車や飛行機で運ぶための大きな布袋)を広げ、タイヤとLEDライトをフレームに装着し、軽いストレッチの後いざ出発。
海岸沿いに紀伊半島を時計回りにペダルをこぎ、本州最南端の潮岬や南紀白浜を伝い、3日目の日曜昼過ぎ、和歌山市の手前・御坊市の郊外でサドルを下りた。
JR紀勢本線(通称・きのくに線)は、沿線利用者の減少と観光振興の取組みとして「サイクルトレイン」、すなわち、車内へのマイ自転車の無償持込み(一部:事前予約制)を採り入れており、昨年8月より、当初対象としていた県南部の閑散区間から和歌山市周辺までサービスエリアを延伸する実証実験が行われている。雨・風、疲労など様々なコンディションに左右される自転車乗りにとって、併走する鉄路の利便性向上は本当にありがたく、今回の旅行でも何度となくお世話になった。
一方、“なんちゃって”ツーリストとして、自転車旅の率直な感想を言おう。海岸の景色は確かに美しい。天候や風向にも恵まれたし、海の幸も豊かだ。ただ、道路のアップダウンはなかなか激しく、工事用のトラック含めて交通量も多いなど、初級者には向かない(特に紀伊半島の左半分)。また、沿岸まで山がせまるためか、風向も変わりやすく、安定走行をさまたげる。余裕を持って車窓や観光を楽しみたければ、クルマかトレイン・オンリーの方が充実度は高いと思う。
2日目:紀伊田原駅で晴天のもと始発を待つ
海原と愛車 〜潮岬公園から〜
それでも、「しまなみ海道」に並ぶツーリングの聖地・南紀を満喫したい方へ。おすすめは、自転車とトレインのバランスをとって旅程を組む方法だ。
ツーリングマップに表示された道路のカーブや等高線から勾配を予測する。食事をとれる街や「道の駅」に目星をつけたら、現在の体調を考慮して所要時間を計算し、スマホに保存した電車(公共交通機関)の時刻表と照らし合わせて乗降駅と目的地を設定。交通手段を問わず、長距離移動の経験者であれば、一度は身に覚えがある作業だろう。
タイムを競う熟練のサイクリストでもない限り、紀伊路での無理は禁物だ。許されたスケジュールのなかで、自分ならではの自転車・トレインの「二刀流」プランをクリエイトしてみて下さい。
参考:きのくに線サイクルトレイン(https://www.jr-odekake.net/railroad/kuroshio/cycletrain/)