薫子さん!
みなさんの知り合いに「薫子」さんはいらっしゃいますか?
私はいません。
先日、都心での打ち合わせを終えた午後3時。名前を出せば「あぁ…」と
知られる某校近く。下校時に「ごきげんよう」と挨拶をするあの名門校です。
下校中の女子高生の一群とすれ違いました。
ひとりの子が「薫子ってさぁ」。
おぉ、薫子!
いやあの、薫子にヘンな思い入れがあるとかではないんですけどね。
初めて薫子という名前の存在を知ったのは、たしか小学生の頃。
テレビのドラマとか、漫画とか、そのあたりだったと思います。
「子」って、余計じゃね?
そう思いませんでしたかみなさん!?
「薫」でいいじゃん。と。
なんかこう、チャーハンを頼んだら半ライスが付いてきた。
そんな気分ですよ。薫子ったらもう。
他にもいくつかありますね。櫻子、緑子。
桜でいいじゃん、緑でいいじゃん、と。
これはどういうことなのか? 調べてみました。
簡単に結論を申し上げると、興味深い歴史がありました。
解き明かすべきはやはり「子」ですよね。半ライスの部分。
「子」。もともとは男性の名前につける文字だったそうです。
覚えてますか歴史の教科書? 「小野妹子」や「蘇我馬子」は男です。
で、そんな「子」が女性の名前にも使われ始めたのは平安の頃。
広まった理由のひとつは、天皇から「皇族の女性は○○子、皇族じゃなくなった
女性は○○姫ということで区別します」とのお達しがあったからだとか。
そして鎌倉時代になると○子の条件は緩くなり、一般の人々にも付けられる
ようになったそうです。一般と言っても庶民は到底無理だったはず。
つまり○子とは「高貴な女性だけが付けられる名前」でした。
薫子(&櫻子、緑子)から漂ってくるお家柄のいいイメージはそこが源流。
そういえばドラマや漫画に出てくる彼女たちはいつも過剰に「おーっほっほっ」な
“お嬢様キャラ”として描かれていましたっけ。
この「○子ステイタス」は明治時代に入ってからも変わらなかったそうです。
で、明治8年にあることが起こります。姓名改革です(1875年2 月13日公布。
すべての国民に苗字〔名字・姓〕を名乗ることを義務付けた法律)。
そこで今で言う名付けトレンドが発生します。
どうせだからこの機会に! とばかり、貴族の娘や高級官吏の奥さんたち、そして
社会進出をしていた一部の女性たちが高貴な由来を持つ「○子」に改名したのだそうです。
また当時の中流層(とは言ってもけっこうお金持ち)の方々も、それまでの
名前に「子」を足すことで上流風に見せるのが流行したとか。
そのあたりの時代に、お嬢様ネームを代表する薫子(&櫻子、緑子)が誕生したらしい。
じゃあなんで、良子や知子はそうじゃないのか? そこはわかりませんでした。が、
おそらく薫子(&櫻子、緑子)のほうが字の見た目と響きが上品に感じられるからでしょうね。
ちなみにこのところしばらく、みなさんご存じのとおり「子」の付く名前は年寄りくさいと
敬遠されてきました。ネットでは子の付く名前が「しわしわネーム」と呼ばれる始末。
でも最近はまたレトロフューチャーの流れがあって復活しているそうですよ、○子。
良かったですね○子のみなさん。復讐の時、きたる!
〔おまけ〕
ロケで茨城県に行ってきました。その途中、ある駅前で見つけた標語です。
よく見てください。
のびのびと正しく 瞳かがやく青少年を育てるまち
…宣言の村
まずは町にならないといけない、のか。。。
(そういう意味ではないと思うが)