春を感じる美しい日本の色
週末の雨模様で近所の桜が散り始めていました。 儚いが故に魅了されるのかもしれません。 今回は春を感じる日本の伝統色を紹介したいと思います。 日本人は色彩感覚が豊かだと言われています。 和の色に合わせた歌も画像に含めてみました。 並べてみると春の季語は雪と一緒に詠まれる(詠われる)事が多いですね。
桃色/ももいろ
桃の花のような色。薄紅にも似ています。「桃」という名称は室町時代から使われるようになりました。桃は不老長寿や邪気を払う等、縁起の良いシンボルとして度々使用されています。
桜色/さくらいろ
桃よりもさらに薄い色。現在、日本の国家で花と言えば桜というほど愛されています。平安時代に貴族が桜を植えるようになって桜が普及しました。
歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の中で、石川五右衛門の「絶景かな 絶景かな」という台詞は有名です。これは京都の南禅寺三門からの桜を見た感動を表しています。
若菜色/わかないろ
春先の菜の色。若菜摘みはお正月頃の季語です。若菜摘みは万病を除くとされ、古代の宮中では行事化されたそうです。
草枕の「春よ春」は、春を喜ぶ心弾むようなテンポを感じます。
萌黄色/もえぎいろ
平安貴族の女性の装い「十二単」は、重ねる装束の色合いで季節やファッションを楽しんでいました。そんな襲色目で「萌黄の匂い」という春の着こなし方があります。緑系でグラデーションを重ねて、宮中の女性は華やかな春の雰囲気を楽しんでいました。
曙色/あけぼのいろ
夜明けの東の空の色。清少納言の枕草子、「春はあけぼの~」は有名ですね。夜空が明け始めて赤みを帯びて行き、青系になるまでの束の間の空を見事に表現した色です。
生命力の象徴である春の色
草木が芽吹く頃だったり、一日の始まりを表現する色だったり、始まりの季節にぴったりな春の色をご紹介しました。何れの色も参考文献は「定本 和の色辞典/視覚デザイン研究所」です。
今年は色に注目しながら季節を感じてみては如何でしょうか。