M・ナイト・シャマラン監督最新作!「OLD」レビュー
30分で1年の時が経過する。
1組の男女と3組の家族が招かれた謎のビーチ。脱出方法不明。1日で終わる人生。「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督最新作!迫り来る死の恐怖と謎に満ちた謎解きタイムスリラー!!
本作品は既に公開中の為、ネタバレ要素を含んでいます。
※サムネイル画像は公式HPから引用させて頂きました。
予告動画はこちら。
予告と言いつつも、ストーリーの大まかな流れがネタバレされている。
ラスト以外はこの通り。
あらすじ
休暇で人里離れた美しいビーチに訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している—
「私の息子を見かけませんでしたか?」
「ママ、僕はここにいるよ!」母親が息子の姿に気づかないのも無理は無かった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。
一体このビーチで何が起こっているのか?
(OLD公式HPより引用)
美しいビーチと得体の知れない恐怖
美しいビーチを満喫するのも束の間、人々は何かがおかしい事に気がつく。
打ち上げられた謎の死体、成長する子供達、脱出できない岩場。
何故命を落としたのか、何故急成長しているのか、何故脱出できないのか、何故彼らなのか…?
様々な何故の中、1人また1人と死が迫る恐怖。
人々の属性
元々いた1組の男女の加え、3組の家族が合流するのだが、各人の職業が興味深い。外科医、看護師、心理士、博物館勤務、保険数理士…。難関職種が勢揃いである。看護師がいるだけでも奇跡であるが外科医までいる。これから彼らの能力を活かす場面が登場しますよという事は容易に想像できるだろう。彼らの経験と能力を合わせて、ビーチの謎を紐解く事になる。
そして他にも彼らの属性に重要な共通点が潜んでいる事が明らかになる。
犠牲になって良い命はあるのか
ストーリーが進むにつれて「何故彼らなのか?」が明らかになる。
多くの人を救うために犠牲になって良い命があるのか?発展の為の犠牲があって良いのか?そしてこのような行為に思い出される何かがある。フィクション作品のはずなのに、人類の歴史を振り返り胸が痛くなる。
世界の何処かで、あるいは自国で似たような事が行われたとして、この先だって現実に起こる可能性はある。正義とは悪とは道徳とは発展とは?様々な事を考えるきっかけとなる。
人生とは
6歳の少年トレントと11歳の姉マドックス。本作で、トレント役は4人の役者が担当している。体の成長に伴い、状況を理解し自立しているのは子供の柔軟さ故なのか。
そして子供達の成長を見守る楽しみもイベントも全て奪われ急成長を目の当たりする父親ガイと母親プリスカ。
ガイとプリスカは離婚寸前で、最期の家族旅行にこの地に訪れた。
子供達の成長に伴い、自分達が老いている事にも気付く。
視力が落ち、聴力が落ち、互いの存在を確認するのも困難な状況で身を挺して互いを守り合う本能。
死を目前にあらゆるものから解放され、そこに残ったのは互いを想いやる愛だった。
このビーチに来なければ2人は離婚していたはずだ。
謎のビーチに連れて来られた事は不幸中の不幸である。しかし、私の目には2人は幸せな最期を迎えたように見えた。愛する家族の側で夫の命が尽きた後、後を追うように妻も息を引き取る。成す術もなく大切な人と迎える最期は無常であり美しくもある。
人生とは老いとは幸せとは?僅か1日で終える他者の人生を眺めながら、自分の人生を考えたくなる作品。
【作品概要】
監督: M・ナイト・シャマラン
原作: フレデリック・ペータース; ピエール・オスカル・レヴィ『Sandcastle』
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル/ヴィッキー・クリープス/ルーファス・シーウェル/アレックス・ウルフ/イーモン・エリオット/ ノーラン・リバー/ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス/トーマサイン・マッケンジー/エンベス・デイヴィッツ/アレクサ・スウィントン
公式HP:https://old-movie.jp/