WEB・モバイル2023.05.11

JAPAN DESIGN TIPS:明治時代の輸出用お茶ラベルデザインを再現

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

ざんぎり頭をたたいてみれば文明開化の音がする。 明治時代、海外との交易が盛んになったことで、西洋文化が日本にも沢山入ってきました。 デザイン面も西洋の影響を受け、和洋折衷なラベルデザインが作成されました。 今回は、明治時代に輸出されていたお茶のラベルデザインに焦点を当ててみようと思います。 明治時代の茶箱絵をイラストレーターで再現してみました!

明治時代とお茶

日本の良質なお茶は海外からの需要が高く、外国商社を通して輸出されました。輸出用の茶箱に貼られたラベルの事を茶箱絵と呼びます。輸出が始まった当初は二代目歌川広重など、江戸時代の浮世絵師がラベルの挿絵を描く事が多かったようです。海外輸出用の箱に貼られるので、蘭語(英語など外国語)で文字が書かれています。挿絵は日本文化に沿ったもの、輸出国に合わせたものも両方あります。蘭語と浮世絵の組み合わせは和洋折衷で新しさを感じます。

静岡県のフェルケール博物館のHPに輸出用茶箱絵の一部が紹介されています。

茶箱絵の特徴

茶箱絵風デザインを作成するにあたり、茶箱絵の特徴を紹介します。

  • リボンなどの飾り枠の使用(無いものもあり)
  • 真ん中に大きくブランドマークが描かれている
  • テキストが多い
  • フォントは複数使用する
  • フォントサイズにメリハリをつける
  • 書かれているテキストは、ブランド名、製法、ランク、生産地、現地販売会社、輸出元など

イラストレーターでこのような飾り枠を作成しておくと便利です

レイアウトも見てみましょう。輸送用の木箱に入れるお茶は消費者に販売しやすいように個別パッケージに包まれました。ペーパーと呼ばれるお茶の袋とカートンと呼ばれる厚紙の箱があったようです。それぞれには1ポンド、またはハーフポンドの量のお茶が詰められました。以下のレイアウトサンプルは、ペーパーおよびカートンに使用された縦長のラベルレイアウトです。

中央に挿絵があるのが共通ですが、テキストの配置は様々です。大小のフォントを使い、メリハリをつけています。お茶が入っているのでJAPAN TEAの文字は大きく書かれている傾向があります。

ラベル作成

上述した茶箱絵の特徴を踏まえてクリエイターズアイのラベルデザインを作成してみました。

当時は手書きフォントだと思いますので、雰囲気が近いフォントを選定しています。

さらにブラッシュアップしたものがこちら。

和紙のテクスチャを敷いて質感を表現しました。少し大げさかもしれませんが、印刷物特有の掠れも入れました。拡大すると分かります。

参考文献:開化図案 文明開化にはじまる商業デザイン 編:佐野宏明

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング/ディレクション) 官公庁系サイトディレクション、デザインの他、企業系大規模サイトリニューアル、ECサイト運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザインについて紹介します。

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