主人公の門出と凰蘭は、大学へ進学し新しい生活を始める。 一方で依然として巨大母艦は東京上空に鎮座しており、混沌と日常がグラデーションのように混ざり合う。

前章に続き、2024年5月24日（金）公開予定の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』後章を紹介する。

前章：巨大母艦と青春譚！『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』前章レビュー

母艦による汚染被害はあるものの、無抵抗の侵略者を駆除する描写を見ると、侵略者は本当に侵略者なのかという疑問が湧いてくる。
私たちの暮らす現実世界でも何度も目にしてきた、未知のものを恐れる人間の習性。侵略者擁護派のデモ活動。なんとかなるだろうと他人事の人々。前章同様に、既視感のある光景が広がっている。

目の前に広がる「デストラクション」に、正義とは、正しさとはを考えさせられる。
母艦の爆発を止めるパスワードに対し、駆除を辞めない人間。異なる性質を持つ生物との共存の難しさがやるせない。

そして巨大母艦の爆発による人類滅亡まであと半年。
謎の少年大葉くんとの再会。
ごく平凡な大学生活と並行して描かれる異質。異質の中で明らかになる門出と凰蘭の過去と友情。そして二人それぞれの恋愛。

前章では門出や凰蘭の過去がシリアスに描かれていた。彼女たちと侵略者を繋ぐキーワード、「並行世界」。この世界には幾つもの並行世界が存在しているとしたら？親友を助けるための行動がさらなる試練を招くとしたら？大切な人のために自分の性格を変えられる？滅亡しない世界線はあるのか？ 原作とは違うオリジナルエンディング、それは黒川監督の描く並行世界なのかもしれない。前章のレビューで、「想像の余白がある作品」と紹介したが、後章でも細かい説明をされず見るものの想像に委ねられているシーンがある。日常に溶け込む脅威。そして更なる絶望を目前に描かれる青春譚。原作との違いも並行世界の一つとして楽しんではいかがだろうか。