自由に詠めばニューウェーブ短歌
5・7・5・7・7の31文字から成る短歌。国語の授業で習った方も多いのではないでしょうか。
短歌は難しそう、敷居が高い、あるいは美しい言葉で詠まなければ・・・!なんて思っていませんか?
そんなあなたには短歌を口語体でポップに表した「ニューウェーブ短歌」をおススメします。
誰もが抱える感情、季節の移り変わり、日常の一コマなどを自由に表現すれば良いのです。
31字に収めるのが難しい?大丈夫です。字余り、字足らずもよくある事なんです。
私は短歌が好きで疲れた時なんかに歌集をパラパラを捲ります。
短い言葉の中に深い共感や、斬新なものの見方を垣間見る事ができて面白いのです。
今日は私の好きなニューウェーブ短歌の歌人を2人紹介します。
穂村 弘(ほむら ひろし)
ニューウェーブ短歌と言えばこの方。エッセイストとしても活動されています。
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は(穂村弘)
私が穂村さんを知ったのは、実は短歌ではありませんでした。
「車掌」というショートストーリー集。寺田克也さんのイラストと相まって独特の世界が広がっています。
ドアがあいて
車掌が入ってきた
座っているぼくの目を覗き込みながらてにもつをいまいちどおたしかめください
あいまいにうなづいたとたん
がっ
と車掌の指が
ぼくののどに食い込んだ
なん、と、いう指の、太、さ
(車掌/著:穂村弘×絵:寺田克也より引用)
ありえない。だけどこんな事あったら面白いかも?というワクワクが潜むショートストーリー集です。
漢字と平仮名の使い分け、句読点の打ち方など日本語の表現の広さを教えてくれます。
そんな穂村弘さんですが、昨年17年ぶりの歌集を出版しました。
界隈ではとても有名な方なので、そんなに長い間出版されていなかった事に驚きです。
「水中翼船炎上中」(講談社)興味の有る方は是非目を通してみて下さいね。
「美」が虫にみえるのことをユミちゃんとミナコの前で言ってはだめね(穂村弘)
木下龍也(きのした たつや)
きみを嫌いな奴はクズだよ
木下さんが2016年に出版された歌集のタイトルです。
なんだかドキリとしませんか?
短くて刺さる。そんな作品が多い歌人さんです。
穂村さん同様、ユニークな切り口でストーリー性のある短歌も多くあります。
歌の背景を自ずと想像してしまう。そんな歌を詠む方です。
立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ(木下龍也)
この歌が大好きで大好きで定期的に思い出します。
こういう強さを持った人になりたいなぁと。
木下さんは、「あなたのための短歌1首」としてオリジナル短歌を販売しています。
定期的に募集していますが、すぐに完売してしまうので気になる方は木下さんのTwitterなどをマメにチェックしてみてくださいね!
あとがきに「ぼくを嫌いな奴はクズだよ」と書き足すイエス・キリスト(木下龍也)
短歌って楽しそうだなと思ったら、ぜひトライしてみてください。
好きな歌人を探してみるも善し、詠んでみるも善しですよ。