2020.02.17
その人を映す文章
東京
ライター
来た、見た、行った!
かつらひさこ氏
本があまりにも増え過ぎたので、本棚を整理した。
この本はいるのか捨てるかを悩んで、ぱらぱらとめくっているうちにその本を読みふけってしまい、時計の針はあっという間に進んでしまう。選び出された本は改めて、時間のある時にじっくり読む。1、2時間ほど読書に費やせるのは本当に幸せだ。
だいぶ前に買ったのにも関わらず、ちゃんと読まずに本棚の中に眠っていた本の中に、小泉今日子さんが数年前に出したエッセイ「黄色いマンション 黒い猫」があった。
小泉さんが原宿をテーマに、少女時代のこと、当時付き合っていたボーイフレンドのこと、アイドルになったきっかけ、家族のこと、飼っていた猫のことなどが書かれている。軽快な文章はまるで音楽のようで、こんな素敵な文章を書く方だったのかと、遅ればせながら彼女の才に唸った。
文章というのは良くも悪くもその人が出ると思う。
なので、その人のことにそれまであまり興味がなかったとしても、その人が書いた文章を好きになると、途端にその人がどう歩んできたかや人となりに一気に興味を持ってしまうのだ。
本の並びを見ていると、私は人物をいろいろな角度から書かれた書籍とかエッセイとか、要するにその人の感じたことや考えをさらりと書かれた本が好きなのだなと思う。
最近、ただ意味なくだらだらとスマホのニュースなどで悲しみや恐怖を煽る文章に触れることが多いのだが、なるべく少なくしなければ。
もっと世の中に溢れる素敵な考え、伝え方、文章、人となりとたくさん出会いたいものだと思った。
プロフィール
ライター
かつらひさこ氏
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、6年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。