おしえておじいさん
「むかしむかしあるところに おじいさんとおばあさんがくらしていました。」
この文章に馴染みのあるあなたに問題です。
この後おじいさんとおばあさんに何が起こるでしょうか?
大喜利じゃないですよ?笑
赤子を拾って
↓
美しい子orたくましい子に成長
↓
大きな力に立ち向かう
↓
ハッピーエンド
こんな流れを想像する方が多いのではないでしょうか。
日本昔話のあらすじはこのような流れが多くあります。
桃太郎、一寸法師、かぐや姫。
ここで私は疑問に思いました。
「日本の昔話は、おじいさん、おばあさん、小さき子の登場回数がやたら多いのは何故か」
お兄さんお姉さんじゃダメなんですか?
おじいさんが芝刈りにいくなんて重労働です。
働き盛りのお兄さんでも良いと思いませんか?
そして私は見つけました。
●小さき子は神界からの救い主説
結論から言うと「神界からの救い主の象徴として描かれている」という説がしっくりきました。
小さい子は一寸法師のように物理的に小さい子もいれば、桃太郎のように赤子の状態で登場する子もいます。
幼いスーパーヒーローの元祖は少彦名命(すくなびこなのかみ)とされています。
小さ子物語のもっとも古くは、大国主命と一緒に国造りという大仕事を成し遂げた「少彦名命(すくなびこなのかみ)」の神話であり、『古事記』には「少名毘古那神」、『日本書紀』には「少彦名命」と記されている。
(樹下龍児著/美意識のありか 万葉のこころが育てた感性)
少彦名命はジャガイモの実を二つに割ったさやの船に乗るサイズです。
この小ささで国造りを成し遂げられるのは神だからと考えるのは自然ですね。
子供として統一カテゴライズすると読み手がストーリーに入りやすい効果もあると感じます。
「悪役は目つきが悪い」「嫌な笑い方をする」みたいな共通認識があるように、昔話では「不思議な力の主人公=子供」として描かれていたのかなと。
要は伝わりやすいんですよね。
●おじいさんおばあさんは常世の国の人説
不思議なものですが、私たちが暮らす「この世」以外のフィールドが存在するという考えがあります。
現世、来世、この世、あの世、など。
上述した樹下先生の著書によると、昔話のおじいさんおばあさんは「常世(とこよ)」の国から来た長寿の老人の象徴なんだとか!
常世とは海の遥か向こうにある、不老不死の理想郷。
単純に死後の世界・黄泉を指して言う事もあるらしいです。
なるほど!
ちなみに浦島太郎が行った竜宮城も常世だと言われています。
●まとめ
不思議な子供達はまだしも、おじいさんもこの世の者では無い説に驚きました。
私は知りたがりなので、「おじいさんが現世にいる目的は?」と気になる事がどんどん出てしまいます。
Youは何しに現世に?です・笑
特に意味は無い可能性も含めてのんびり答えを探していきたいなと思います。
ただ、子供もおじいさんおばあさんも何かの象徴として扱われている事は説得力がありました。
以前、縞模様が「野蛮」の象徴して扱われている事例を紹介したのですが、それに通じるものがあるなぁと。
参考:
粋?無粋?縞模様のイメージは??
https://www.creators-station.jp/jobcat/51544
それぞれの物語の裏には見えないメッセージがまだまだ隠されているかもしれません。
桃太郎のサル・キジ・イヌは陰陽五行説に由来しているという話があるように。
現代のクリエイティブでもそうですが、隠れた拘りを見つけると宝物を見つけたような気持になります。
作り手としても受け手に楽しんで貰えるものを発信していきたいと改めて感じたのでした。