WEB・モバイル2020.08.25

たとえ火の中・・・お江戸のサイコパスガール

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

こんにちは。暦の上では処暑でありますが、まだまだ暑い日が続きます。

今回は暑い夏の日に更に熱ーい(?)恋のお話を紹介します。

さてその前に、簡単な質問に答えて下さい。

【質問】
あなたは3人家族です(あなた、夫、子供)。夫が亡くなりました。
あなたは夫の葬儀で出会った夫の同僚に恋をしました。
そこであなたは、子供を殺しました。
なぜですか?

これは、一昔前に流行ったサイコパステストのひとつです。
回答によってあなたがサイコパスかどうか判定できる心理テストみたいなものです。
実際にこのテストが使用されているかはさておき、巷で流行ったテストと捉えてくださいね。

この質問に「新しい恋に子供が邪魔になったから」と答えた場合は普通の人です。
サイコパスは「子供の葬式で、あの人に会えるから」と答えるそうです。
日本中を震撼させた当時14歳の凶悪殺人犯がこのように答えたとも言われています。

そして、日本の歴史を遡ると何だか似ているなーという事例があったのでご紹介しますね。

時は江戸時代。
年の瀬に大きな火災があり、八百屋の娘「お七」とその家族は、とあるお寺に避難しました。
そこでお七は「吉三郎」という少年に出逢います。
二人はあっという間に恋に落ちます。

しかし、恋に障害はつきもの。二人は隠れて文を交わすのがやっとでした。
お七一家が寺を離れた後も、母親の厳戒態勢は解かれませんでした。

吉三郎への想いが募りに募ったお七は閃きます。

「また火災が起きたら愛しい吉三郎さんに逢えるはず」

恋する乙女は止まりません。
火を放った少女は捕らえられて火刑に処されました。

江戸時代は火災が多く、放火は重罪でした。
吉三郎に逢うこともできぬまま、悲恋は幕を下ろしたのでした。

お七は実在したのか

お江戸の悲しい恋のお話、いかがだったでしょうか。
実は、この話をもう少し調べたところ、実際は江戸時代に放火を犯したお七という少女がいたという記録しかないそうです。

ただ、井原西鶴の「恋草からげし八百屋物語」のベースになったとも言われており、歌舞伎や浄瑠璃、落語など様々な演目でお七が演じられています。
各作品でそれぞれの演出があるものの、「好きな人に逢うために火を放った少女」という設定は共通しています。

なので正式な記録は残っていないにしても、少女が火を放った理由は「恋」だったのかなぁと。

なんとも切ないですね。

お七はサイコパスなのか

冒頭の話に戻りましょう。
「好きな人に逢うために子供を殺す」思考を持つサイコパスですが、お七はサイコパスなのか?
サイコパスの特徴として「良心の欠如」が挙げられます。
お七はそうだったのか・・・?

良心はあるけど、情熱的過ぎたのでは・・・?と凡人の私は考えてしまいます。

自分がお七ならどうするか。
私なら大人になるまで地道に文通して、両親の理解を得ようと頑張りますね。
びっくりするくらい普通の人です。

死罪を分かっていながら火を放つ度胸はないです。
じゃあやっぱりお七はサイコパス・・・?
少なくとも素質はありそうです。
火災がいかに恐ろしく、そして厄介なものであるか知った上で放火しているわけですから。

お墓などお七の痕跡は日本各地に残されており、話題の人であったのは間違いないです。
罪人でありながら人々の心を掴んだ、江戸時代のサイコパスガールと言ったところでしょうか。

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング) サイトリニューアル、デザインの他、企業系大規模サイト、ECサイトの制作・運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザインについて紹介していきます。

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