石橋文化センター「つばきまつり」にて春を愛でる
福岡県久留米市には「石橋文化センター」という施設がある。
1956年(昭和31年)に、タイヤメーカーとして知られる株式会社ブリヂストンの創業者、石橋正二郎氏からふるさとの久留米市へと寄贈されたものだ。
園内には美術館(久留米市美術館)や図書館、石橋正二郎記念館といったカルチャースポットが豊富に設置されているほか、四季折々の風景を楽しむことができる美しい庭園では、季節ごとにイベントも開催されている。
個人的にイメージが強いのはバラ園だったのだが、ちょうど3月は「つばきまつり」の時期だと聞いて、椿も植えられていたのだ、と久々に足を運んでみた。入り口はすっきりと整備された印象で、清水多嘉示氏作の銅像『みどりのリズム』や、3羽のペリカンが空を見上げるように腰をおろす『ペリカン噴水』がレンガ調の建物に映えている。
「つばきまつり」の会場は、正面入り口から見て右奥の案内を目印にするとわかりやすい。
道すがら湖を眺めると、白鳥やアオサギがたおやかに水辺でくつろいでいた。あまりに穏やかな様子だったので、ペリカン噴水を目にした後だったこともあり何らかの作品かと空目してしまったのはここだけの話だ。
椿は260種1500本と(※公式サイトよりhttps://www.ishibashi-bunka.jp/hanameguri/camellia.html)、間近にすると圧倒される存在感だった。「国際優秀つばき園」としても認定されているそうで、ここまで様々な品種を拝めるのは、椿の苗木生産地として名高い久留米市ならではだろう。
サヨノツキ、ショウウノサカエ、サガミワビスケ、イカリシボリ、ヒメノカオリ、オヒナサマ……和の情緒漂う雅な名もさながら、品種によっては一般的に想像される椿とはやや異なる個性的な形、色をしているのも感慨深い。
園内では喫茶店も利用できるため、ゆるりと庭園を巡り、ランチやお茶をしながら休日を過ごすのも有意義なのではないだろうか。カフェやギャラリーでは期間限定のつばきメニューやつばきグッズなども売られており、こちらも必見だ。
ただ、ひとつ無念だったのはなんと「つばきまつり」。メインイベントは3月19日(土)~21日(月)のようです……。
花を愛でるだけでも十分目の保養ではあるものの、オープンカフェや苗木の販売、ガーデンコンサートなどを楽しみたい方はぜひ3連休に出かけてみていただきたい。地元を代表する洋画家、坂本繁二郎の旧アトリエ特別公開も要チェックである。
凛と咲き、やがて潔く花を落とす。
その気高さと美貌ゆえに古くから日本人に愛されてきた椿の花。
興味がある方はこの機会に苗木を育て、幽玄の一生をそばで見届けるのも良いかもしれない。
【石橋文化センター春の花まつり2022 つばきまつり】
会場:石橋文化センター
会期:2022年3月5日~2022年3月21日
料金:入場無料
利用可能時間:10:00~17:00
駐車場:普通車225台 200円/2時間・バス5台 500円/1回
交通アクセス:西鉄天神大牟田線 久留米駅より徒歩10分
西鉄バス(1・9・20・22・25・40)番利用「文化センター前」バス停下車すぐ
お問合せ先:石橋文化センター(TEL:0942-33-2271/FAX:0942-39-7837)
公式HP:https://welcome-kurume.com/events/detail/ea5d49ea-6c71-448f-a28c-391bdf58b0c6