これからのお花見シーズンを彩る”藤の花”の想い出
お花見といえば、一般的には桜を連想する人が多いと思う。
しかし、私の育った家では4月終わりから5月ごろに「藤の花」を見に行くのが定番だった。
単純に好みの問題かと思ったが、祖父に色覚異常があり、桜の色を正確に感じ取ることができなかったのが理由だと知ったのは成人してからのことだ。
とはいえそれはそれで、行楽の選択肢が広がったという意味では有難かった。
藤棚から優美に脚をおろす花々は、空間全体に幕を引くかの如く艶やかに映え、まるで別世界に誘われたかのような気持ちにさせてくれる。
桜の名所は意外と藤の名所であることも多いので、時期を逃した方はぜひ藤見も検討してみてはいかがだろうか。
また、これから見ごろの花としては藤以外にもツツジや芍薬、牡丹、ネモフィラなどがある。
地元九州ではハウステンボスをはじめ、様々なテーマパークや公園にて4月末~5月中旬に合わせ、「バラ」をテーマとしたイベントも行われているようだ。
6月になれば紫陽花が咲き、夏になれば広大なひまわり畑が各地で話題になる。いつの時期も花は人々の目や心を癒し、大切な人同士の団らんの場に寄り添う存在なのだろう。
私は今年も友人たちとは桜を鑑賞しに行き(それにかこつけて出店やらビールやらを楽しみ)、家族でのお花見はゴールデンウイーク明けにでも考えようかなあ……といったところ。
結局桜も見るのかという話だけれども、何しろ桜や紅葉のイベントには銘酒がつきものでして。もちろんメインは花。あくまでも花です。
ちなみに直前に100均でレジャーシートを買ってきて、と頼まれたため、昨今の100均はそんなものまでカバーしているのか!と感動とともに向かうと、何と品切れであった。
必要に迫られてからクローゼットを漁っても、レジャーシートってなぜか見つからないもんなのだ。すごく分かる。
だがこういう不便が起こるのも、人が集まる場所があってのこと。
新型コロナウイルスの感染拡大以降はお花見イベントが中止になったり、参加を控える方が増えたり……と切ない流れが続く中、最近ようやく徐々に日常に戻りつつあるのを感じる。
空いている駐車場を必死に探し、人波に揉まれながらスペースを確保する。
そんな苦労もある意味幸せなことなのかもしれないなと、靴ずれをさすりつつ内心で独りごちた日であった。
キャプチャ画像引用元:ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/20160502131post-7799.html)